2025年06月16日

軽い運動をするとすぐ膝に痛みを感じ、長く歩けません

Q : 軽い運動をするとすぐ膝に痛みを感じ、長く歩けません。治らないのでしょうか?(70歳男性)
kansetsutsuu

A:膝の痛みについてのお悩みですね。運動したいのに、膝が痛くて思うように動けない。そのもどかしさと膝の痛みは体だけでなく、気持ちにも負担をかけているのではないでしょうか?
まず、年齢を重ねた方が、ちょっとした運動ですぐに膝が痛くなり、長く歩けなくなってしまう原因として最も多いのは「変形性膝関節症」と呼ばれる病気です。これは、年を取るとどうしても膝の関節の軟骨がすり減り、関節の形が少しずつ変わってしまうために起こります。その他にも、膝の周りの筋肉が弱くなったり、筋肉や腱の柔軟性がなくなったりすると、痛みが出やすくなります。もし、以前にケガをしたことがある方なら、半月板や靭帯が傷ついていることが原因の場合もあります。また、リウマチや痛風のような病気でも膝の痛みが出ることがありますし、年を取ると骨ももろくなりますから、骨折や骨の病気にも注意が必要です。

日常生活の中でできることもあります。膝を冷やさないように気をつけることは大切です。寒いと関節はこわばりやすくなり、痛みも強くなりがちです。体を温めて、心地よく過ごしてください。運動は、リハビリと併せてお勧めされています。自分の調子を見ながら続けることが大切です。たとえば、ウォーキングやストレッチ。膝に負担をかけない方法で、動かすことが大事です。また、詳しくは整形外科やリハビリの先生に聞くことをお勧めしますが、太ももの筋肉、特に大腿四頭筋を鍛えるような運動をすると、膝を支える力が強くなります。体重をコントロールすることも大切です。体重が増えると、そのぶん膝にかかる負担が増えてしまいます。靴もクッション性のあるものを選び、膝への衝撃を和らげるようにしてみてください。もし膝が腫れていたり、熱を持っていたりするなら、無理をせずに休むことを優先してください。

それでも膝の痛みが続くときや、腫れや熱感があるときは、病院に行って診てもらうことがとても大切です。レントゲンやMRIといった検査で、どんな原因があるのか詳しく調べてもらえます。専門の先生に相談すれば、必要な治療や、どんな運動をしたらいいかも教えてもらえます。自分の膝の状態を詳しく知りたいとき、膝が腫れて熱を持っているときは、迷わず病院を訪ねて検査や治療について相談してくださいね。

自分の膝の状態を正しく知ることは、安心してこれからの日常を過ごすための第一歩です。どうか、痛みを我慢しすぎず、近くの先生に一度相談してみてください。膝の痛みを抱えていても、工夫とケアで心地よく過ごせる日々がくることを願っています。啓和会は医療と介護の融合で、みなさまの痛みや辛さに寄り添う総合サービスを提供しております。整形外科外来では曜日ごとに手、肩、腰、膝等の各専門医が、日々の怪我から関節の変性疾患まで地域の総合病院と連携しながら幅広く対応しております。ぜひご相談にいらしてください。

参考)
日本整形外科学会「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」 OARSI(国際変形性関節症学会)ガイドライン

夜中に何度もトイレに行きたくなり、熟睡できません

Q : 夜中に何度もトイレに行きたくなり、熟睡できません。(61歳女性)
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A: 「何度もトイレに起きて、夜ぐっすり眠れないんです」――そんな夜の悩みを抱える方は少なくありません。男女を問わず60歳を過ぎると、加齢やホルモンバランスの変化とともに夜間頻尿の頻度が高くなります。これは年齢とともにホルモンのバランスが変わるからです。
夜ぐっすり眠れないと、昼間にぼーっとしたり、疲れやすくなったり、転んでケガをするリスクも高まります。でも「年のせいだから仕方ない」とあきらめないでください。夜中に何度もトイレに行く「夜間頻尿」は、生活の工夫や治療で改善できる病気です。

夜間頻尿(やかんひんにょう)とは、「夜に1回以上、トイレに行くために目が覚めること」です。特に高齢の女性では、3人に2人が夜に2回以上トイレに行くと言われています。主な原因としては、まず加齢やホルモンの変化が挙げられます。夜は本来、体が尿を作る量を減らしてくれるホルモン(バソプレシン)が出ますが、年をとるとこのホルモンが減って、夜にもたくさん尿が作られるようになります。次に過活動膀胱(OAB)があります。これはトイレが近くなったり、急に尿がしたくなる状態で、骨盤の筋肉が弱ったり、ストレスがきっかけになることもあります。また、糖尿病や心臓の病気などの影響で尿の量が増える場合もありますし、眠りが浅いことで、少しの尿意でも目が覚めやすくなることも原因です。

泌尿器科といった専門のお医者さんでは、こうした原因を調べるために、トイレに行った回数や時間を書いた「排尿日記」をつけたり、尿や血液の検査を行ったり、必要に応じて超音波検査をすることもあります。治療は原因によって異なります。過活動膀胱の場合には、膀胱を落ち着かせるお薬が使われます。夜にたくさん尿が出る場合には、夕方に軽い利尿剤を使ったり、バソプレシンの薬(デスモプレシン)を使うことがあります。ただし、この薬は副作用もあるため、医師の指導が大切です。さらに、骨盤底筋のトレーニングや、膀胱の訓練も効果があるとされています。

日常生活でもできる工夫はいくつかあります。たとえば、夜は水分のとりすぎに注意することです。特にカフェインやお酒は控えましょう。足のむくみがある人は、昼間に足を上げて過ごすことで、夜の尿量が減ることがあります。そして、スマホやテレビを寝る前に見すぎないことも大切です。ぐっすり眠るための環境づくりが大事になります。また、夜トイレに行くことが不安で眠れなくなるという「心の問題」もあるため、眠れない悩みやストレスについても相談することが大切です。

夜間頻尿は「年のせい」と片づけられがちですが、実はちゃんと治療が必要な体のサインです。病院で調べてもらい、生活を少し変えるだけでも夜ぐっすり眠れるようになるかもしれません。ひとりで悩まずに、ぜひ医師に相談してみてください。健康と安心を取り戻す第一歩になります。
啓和会では介護と医療の融合で、介護サービスの施設、訪問看護ステーション、総合病院や専門医療機関と連携しながら地域のみなさんと向き合い暮らしの力を引き出すお手伝いをさせていただきます。困った時はぜひ相談にいらしてくださいね。

参考)
夜間頻尿診療ガイドライン 日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会

普段より髪の毛が抜けやすくなり、ボリュームが減った気がします

Q : 普段より髪の毛が抜けやすくなり、ボリュームが減った気がします。(45歳女性)
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A : 鏡の前で、ふとした瞬間に「あれ?」と思うことがありますよね。手ぐしの指先に、いつもより多い髪の毛が絡まる。ドライヤーのあと、床に落ちた抜け毛が気になる。髪が束で抜けていく。全体にボリュームが減ってきた気がする。そして振り返ってみると、最近、生活習慣が変わってきたなんてこともあるかもしれません。髪の毛の長い女性は、男性に比べてこう言った変化に気づきやすいこともあり、決して珍しいことではありません。でも、だからといって放っておいてよいわけでもないのです。髪の変化は、体が静かに送ってくれているメッセージかもしれません。

たとえば「びまん性脱毛症」という状態があります。これはストレスや睡眠不足、急なダイエット、出産、体調の変化などが原因で起こるもので、毛根がしばらく休んでしまうことで起こります。髪は全体的に薄くなり、束で抜けることもありますが、ほとんどの場合、原因を取り除けば数か月で回復します。鉄欠乏が原因となることもあります。鉄分が不足していると、髪に必要な栄養が届きにくくなり、抜け毛が増えることがあります。特に月経のある女性にとっては、知らないうちに鉄が不足していることも珍しくありません。緩やかに進む経過では疲れやすさが目立たないこともあるため、見逃しやすいポイントです。もうひとつ大切なのは、ホルモンバランスの変化です。たとえば甲状腺の機能が低下すると、新陳代謝が鈍くなり、髪の生え変わりがうまくいかなくなることがあります。寒がりになったり、むくみや便秘が出たり、何となく体が重いと感じることがあるなら、そのサインを無視しないでください。
年齢とともに変化する女性ホルモンの影響で、頭頂部を中心に少しずつ髪が細くなっていく「女性型脱毛症」というタイプの薄毛もあります。これは特に40代以降の女性に多く、遺伝的な要因も関係しています。完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、適切なケアで進行を緩やかにしたり、改善することも可能です。

こうした背景をふまえると、一度きちんと体の中をチェックしてみることが大切だとわかります。血液検査で鉄の貯蔵量(フェリチン)を調べたり、甲状腺ホルモンの状態を確認することで、多くのヒントが得られます。もし数値に異常が見つかれば、治療を進めていくことで髪の状態も改善していくでしょう。婦人科や皮膚科など専門家に相談することも有効でしょう。一度受診を考えてみてはいかがでしょうか?

もちろん、日常の過ごし方もとても大切です。偏った食事や無理なダイエットは避け、たんぱく質や鉄分、ビタミンB群を意識的にとるようにするだけでも、髪の元気は少しずつ戻ってきます。睡眠をしっかりとること、ストレスを抱えすぎないこと、過度なカラーリングや高温のドライヤーを避けることも、今日からできるケアです。時間を見つけてヘッドマッサージを取り入れるのも、リラックスと育毛の両方に効果があります。
髪は、私たちが思っている以上に、心や体の状態を映し出す鏡です。ちょっとした変化の背後には、あなたの体が今「無理しすぎていない?」と問いかけているのかもしれません。決して自分を責めずに、まずはその声に耳を傾けてみてください。

髪は、一度抜けたからといって終わりではありません。ほとんどのケースでは、原因を知り、必要なケアをすれば回復する力を持っています。大切なのは焦らないこと。そして、きちんした方法で自分をいたわってあげることです。あなたの髪と心とからだが、また健やかさを取り戻せるように。今日から、食事、睡眠、お仕事をはじめ暮らしを見直し少しずつ整えていきましょう。

啓和会は地域のみなさまの困ったに、医療と介護の融合でお答えしてまいります。地域の専門科クリニックや総合病院とも連携しております。みなさまのご相談を丁寧な受付さん、やさしい作業・理学療法士さん、親切な看護師さんをはじめ、さまざまな医療介護専門職とともにお待ちしております。

参考)
脱毛症 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)
Hair loss Symptoms and causes (Mayo clinic)

朝起きると腰が痛くて、動き始めるまで時間がかかります

Q : 朝起きると腰が痛くて、動き始めるまで時間がかかります。(52歳男性)
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A:朝の「腰の痛み」、その原因と対策についてお話します。
朝起きたとき、「腰が痛くてすぐに動けない」「しばらくしてやっと動けるようになる」——そんなふうに感じる人は、あなただけではありません。実は、年齢を重ねるとよくある体のサインです。人の体は、夜眠っている間にずっと同じ姿勢になりがちです。長い間じっとしていると、関節や筋肉が少しかたくなってしまうんですね。ちょうど、冬の朝に冷えた自転車のチェーンが動きにくくなるのと似ています。こうした朝の腰の痛みには、いくつかの原因が考えられます。
加齢による変化:年を重ねると、背骨や腰まわりの関節がすり減ってかたくなりやすくなります。
筋肉や筋膜のこわばり:筋肉を包んでいるうすい膜(筋膜)がかたくなることで、動き始めに痛みが出ることも。
まれに、軽いヘルニアや関節の病気が関係していることもありますが、ほとんどは深刻なものではありません。

では、どうやって対策すればいいのでしょうか?まずは、原因をはっきりさせること。一度、整形外科を受診して、レントゲンや必要があればMRIなどの検査を受けてみましょう。原因がわかれば、適切な対処ができます。
朝のストレッチを取り入れてみましょう
朝、起きる前にベッドの上で軽くストレッチをするのがおすすめです。たとえば、仰向けで寝たまま、両ひざをゆっくり抱えてみると、腰が少しずつやわらかくなります。
日中も体を動かす習慣をつけましょう
最近の研究では、「腰痛の多くははっきりした原因がなくても、体を動かすことでよくなる」ことがわかっています。ウォーキングや簡単な筋トレなど、できる範囲で体を動かす習慣をつけましょう。
温めて血流をよくしたり、薬を使ったりすることも効果的
痛みが強いときは、湿布や痛み止め、カイロなどで腰を温めるのも効果があります。無理せず、自分に合った方法でケアしていきましょう。
同じ姿勢を続けないことも大事
デスクワークやテレビを見る時間が長くなると、腰に負担がかかります。30分に1回は立ち上がって、体を軽く動かすように意識してみてくださいね。

腰痛は多くの人が経験する身近な症状です。でも、毎日のちょっとした工夫と習慣で、きっと楽になりますよ。焦らず、やさしく体とつき合っていきましょう。啓和会では医療と介護の融合で地域のみなさんの健康と福祉のサービスを提供します。整形外科外来では曜日によって膝や腰、手や肩の専門医が診療にあたっています。理学療法も充実しておりますので困ったことがあれば地域の皆様はぜひご相談ください。

参考)
日本医科大学医学会雑誌
腰痛診療ガイドライン2019の要旨と解説
81_123.pdf
世界保健機関
WHO guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults in primary and community care settings

他人と付き合うのが苦手です。疲れます

Q : 他人と付き合うのが苦手です。疲れます。(48歳女性)

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A : 他人との付き合いで疲れやすいのは、性格的な傾向やストレスの影響が強いかもしれません。無理に変える必要はありませんが、「距離を置く」「疲れる前に休む」といった工夫を取り入れるだけでも楽になります。心身の調子が不安定な時は、専門家の力を借りることも選択肢の一つです。

人といっしょにいる時間が好きな人もいれば、その逆の人もいるのが当たり前です。しかし、他人との関わりが「疲れ」として強く現れる場合、いくつかの原因が考えられます。まず、緊張や不安感があります。人と接する際に相手の反応や自分の言動に強い不安を抱くと、心が緊張し、エネルギーを消耗してしまいます。これは社会不安障害や対人恐怖症といった心理的な症状が関与している場合もあり、緊張が高まるたびに心身が疲弊します。また、性格的な傾向も無視できません。内向的な人や、繊細な気質を持つ方は、他人と接すると多くの刺激を受けやすく、その分エネルギーを消耗しやすいといわれます。そういった方々にとって、ほんの数時間の交流でも大きな疲れを感じることがあります。さらに、過去のつらい体験が影響している場合もあります。かつての人間関係で傷ついた経験があると、それが無意識に現在の付き合い方にも影を落とすことがあります。

こうした心の疲れと向き合うためには、自分のペースで少しずつ変化を取り入れることが大切です。無理をせず、自分に合った方法でストレスを軽減することが第一歩です。例えば、気持ちが落ち着かないときは、深呼吸をしたり、軽い運動を取り入れたりして自分の心身をいたわるセルフケアが有効です。生活リズムを整えながら、こうした小さな健康行動を積み重なることで、日々の疲れが少しずつ軽減されるでしょう。
また、人付き合いに自信を持つためには、少人数の人との交流から練習を始めるのが効果的です。最初から大人数の集まりに無理に参加するのではなく、気の合う友人や家族との時間を通じて、少しずつ自分の心に成功体験を積み重ねていきましょう。「自分はこれができた」と感じる経験が、未来の自信へとつながります。
そして、自分が「疲れている」と感じたときには、無理をして付き合い続ける必要はありません。体の体力はもちろん、自分のこころのエネルギー残量にも気を配り、疲れる前に休むことが大切です。長時間の会話や社交の場から帰宅したら、一人の時間をしっかり確保し、自分を癒す時間をつくりましょう。また、日記に気持ちを書き出したり、信頼できる相手に話を聞いてもらったりすることで、心がスッと軽くなることがあります。
そして、何よりも重要なのは、自分を責めすぎないことです。他人と付き合うのが苦手なことを「弱さ」と捉える必要はありません。それはあなたの個性の一部であり、無理に変える必要はないのです。自分にはこうした傾向があると受け止めたうえで、「今日は少しだけ頑張ってみよう」「無理なときは距離を置こう」という柔軟な考えを持つことで、付き合い方は自然と楽になっていきます。

もちろん、長期間にわたって気分が落ち込み、日常生活にも支障が出ている場合は、専門家に相談することをためらわないでください。専門的な医療機関に受診することは必要となりますが、認知行動療法(CBT)やマインドフルネスといった研究で効果が認められている治療法もあります。また、最近の研究では、自分の性格の特性を知ること、自分の繊細さを受け入れて適切な対処法を学ぶことで、人付き合いに対する不安や疲れを減らせることがわかってきています。

人と接するのが苦手だと感じることは、恥ずかしいことではありません。その特性を理解し、上手に付き合っていく方法を見つけることが大切です。無理に自分を変えようとせず、「疲れる前に休む」「自分のペースで進む」という工夫を日常的に取り入れるだけでも、心の負担は軽くなります。そして、どうしてもつらいときは、専門家の力を借りるのも賢い選択肢の一つです。日々の生活で疲れを感じたときには、どうか自分を優しくケアしてください。

啓和会では、医療と介護の融合で地域の皆様の暮らしを支えます。ご病気、物忘れやご家族の介護や療養支援等で困っている方、お疲れの方はいらっしゃいませんか?お住いの地域包括センターやケアマネージャーさんをはじめ、各種ご相談ご案内可能です。是非声をおかけください。
内科医師 金

参考)
【チェックリストあり】「不安症」いま患者が増加 日常生活に影響も | NHK | WEB特集 | 医療・健康

便通のため漢方薬を飲んでいます

Q: 便通のため漢方薬を飲んでいます。飲み続けても、また何種類まで大丈夫でしょうか?(53歳女性)
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A:こんにちは。お腹の調子で悩むこと、ありますよね。便秘は日常生活の中でよくある困りごとです。今回は、便秘改善のための漢方薬の使い方や、腸内環境を整えるために日常生活で取り組める方法についてお話しします。

まずは原因についてです。便秘は、食事の内容や生活習慣、ストレス、さらには体の基礎的な病気が関係していることがあります。特に最近、「漢方薬を使って便秘を改善したい」「長く飲んでも大丈夫?」といった相談をいただくことが増えています。そこで、まずは漢方薬の正しい使い方についてお伝えします。漢方薬は自然由来の成分でできており、便秘の改善に役立つことがあります。ただし、使い方にはいくつか注意点があります。

1. 効果を見ながら医師に相談して飲み続ける
漢方薬は短期間で効果を発揮する場合が多いですが、長期間使い続けることで次のようなリスクがあります。まず、効果が薄れてきたり、腸が自然に動きにくくなる「薬剤性便秘」を引き起こすことがあります。また、口の乾きや疲労感など、副作用が出ることがあります。漢方薬は基本的に1種類から使うと効果にキレがあり、症状に変化があればすぐに医師に相談するのが安心です。
2.複数の漢方薬を使うと効果が薄れたり、副作用が強く出ることがある
複数の漢方薬を同時に使うのはなるべく避けた方が良いでしょう。成分が重なってしまい、過剰摂取や副作用のリスクが高まるからです。一時的には複数の薬を使っても、効果や症状を見ながら1種類にずつ、使用期間を守りながら飲むようにしましょう。

さらに、腸内環境を整えることも大切だということがわかってきました。便秘を改善するには、お薬だけに頼るのではなく、腸内環境を整えることが大切です。ここでは、日常生活に取り入れられる工夫をいくつかご紹介します。

食生活について、食物繊維を多く摂るようにしましょう。野菜、果物、全粒穀物などを積極的に取り入れると、腸が元気になります。また、水をしっかり飲みましょう。病気がある方は主治医に相談しながら、心臓や腎臓に病気がなければ水分はしっかりとりましょう。1日に1.5~2リットルの水分を摂ることで、便が柔らかくなり腸内をスムーズに保てます。

日頃から適度な運動を続けることも大切です。軽いウォーキングやストレッチを毎日取り入れることで、腸が動きやすくなります。例えば、15~30分の散歩を日課にしてみてください。

また、腸に良い食品を摂りましょう。ヨーグルト、味噌、ぬか漬けなどのプロバイオティクス食品は、腸内の善玉菌を増やし、便通をスムーズにするのに役立ちます。さらに、バナナやオートミールのようなプレバイオティクス食品と組み合わせれば、効果がより高まります。

最後に、ストレスを減らす工夫を試しましょう。腸はストレスに敏感です。ヨガやマインドフルネスという言葉を聞いたことがありませんか?深呼吸をしたり、リラックスできる時間を意識的に作ることも、腸内環境を整える一助となります。

もし、次のような症状がある場合は、無理せずに医師に相談してください。便秘が長期間続いている場合、漢方薬を飲んでも効果が見られない場合、腹痛や血便、吐き気や水も飲めないなどの新たな症状が現れた場合。こういった場合は早めの相談が、より良い治療やアドバイスにつながることがあります。

便秘を改善するには、漢方薬を正しく使うことと、生活習慣を整えることが大切です。腸内環境を良くする食事や運動を取り入れ、小さな工夫を積み重ねていくことで、便秘だけでなく体全体の調子が整ってきます。啓和会では介護と医療の融合でみなさまの暮らしの困ったにお答えするサービスをそろえております。何か気になることがあれば、いつでも気軽にご相談ください。喜んであなたの健康をサポートさせていただきます。
内科医師 金

参考)
– 日本消化器学会「便秘の治療ガイドライン」
– 厚生労働省 e-ヘルスネット「便秘と食事」
– 日本乳酸菌学会「乳酸菌と健康の基礎知識」
– American College of Gastroenterology, 2021: Chronic Constipation Guidelines.

朝起きると、手がしびれたような感じがします

Q:朝、起きた時に手がこわばったような、しびれたような感じがします(70歳男性)
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A:こんにちは。朝、起きたときに手がこわばったり、しびれたりする感じがすると心配になりますね。この症状はいくつかの理由で起こることがあります。
まず機能的な軽いこわばりやしびれの場合、寝ている間に手を長時間同じ姿勢で動かさないことが原因で圧迫されると血液の流れや神経の働きが一時的に悪くなることがあります。起きてしばらく時間がたつと、しびれが徐々におさまり普段通り手を動かすことができます。
一方病気では、関節リウマチによるものでは朝のこわばりに加えて、長く続く痛みや関節の腫れや熱い感じが見られます。手根管症候群などで手の神経の通り道が狭くなると手のこわばりが朝だけでなく、日中も続いたり、力が入らず物が持てなくなったりします。また、糖尿病など全身の病気でも、手のしびれが起こることがあります。
特に、しびれやこわばりの原因が病気の場合もあるのでほうっておいてはいけません。リウマチは手足や首の関節が変形したり、糖尿病では透析が必要になったり、脳梗塞や心筋梗塞など血管の病気のリスクが高まります。これらは一度起こってしまうと後遺症が残り暮らしが不便になってしまうリスクが高いので予防と相談を心がけましょう。こわばりやしびれが長期間にわたり症状が続く場合、医療機関に相談することをお勧めします。
しびれやこわばりは、日頃の生活で気を付けることで予防できる場合があります。寝ている時の姿勢や、適度な運動、栄養バランスの良いお食事を心がけてください。
寝ているときに手や腕が体の下に入ってしまうと、血液の流れが悪くなり、こわばりやしびれを感じることがあります。寝るときに腕を体の下に入れないように工夫すると良いでしょう。
また、こまめに手や指のストレッチや軽い運動を取り入れると効果的です。手の筋肉や関節を動かすことで、血液の流れを良くし、こわばりを防ぐことだけでなく体の動きの維持が期待できます。肩関節や股関節など日頃余り動かさないところもしっかり動かしましょう。最近は動画でも様々な運動を紹介しているものがあるので、”#ストレッチ”等で検索してみてください。
そして、食事や睡眠も大切です。神経や筋肉を栄養する栄養バランスの良い食事をとり疲れをシッカリとることで、健康な生活を心がけるましょう。特にビタミンB群やマグネシウムが豊富な食品を摂ることと生活スタイルに合わせて睡眠をシッカリとる事が、からだとこころの健康を保つために役立ちます。
長くしびれやこわばりがある場合はもちろん、定期的な健康チェックも大切です。年に1回の特定健診などを利用してご自身の健康状態をチェックしましょう。第一に、症状が続く場合や、悪化する場合は、早めに医師に相談しましょう。次に、定期健診・検診を活用しましょう。ご自宅に届いている案内封筒をそのままにしていませんか?定期的な健康チェックを受けることで、早期に病気を発見し適切な治療を受け健やかに暮らしましょう。
啓和会は介護と医療の融合で地域のみなさんの暮らしを支えます。また、診療所では特定健康診査・特定保健指導をはじめ各種がん検診を実施しております。介護が必要な方、訪問が必要な方はもちろんそのご家族もぜひご相談くださいね。

参考)
リウマチお困りごとチェックシート | 一般社団法人 日本リウマチ学会(JCR):
https://www.ryumachi-jp.com/general/checksheet/
Newsroom Rheumatoid arthritis, WHO:
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/Rheumatoid-arthritis

足の巻き爪が痛いです。悪化するのでしょうか

Q : 足の巻き爪が痛いです。どんどん悪化するのでしょうか?(67歳女性)
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 A:こんにちは!歩いていても立っていても、ひどくなると寝ていてもずきずき。足の巻き爪が痛いのはとても辛いですね。巻き爪は、爪が皮膚に食い込んでしまう状態で、痛みを引き起したり、ばい菌が入ると膿んでしまうこともあります。
どうして巻き爪が悪化するのでしょう?巻き爪が悪化する理由にはいくつかあります。例えば、爪を切る方法が間違っていたり、靴がきつすぎたりすることがあります。また、足の爪に怪我をしたり、爪が厚くなりすぎることも原因になります。
軽度の巻き爪は、痛みが少なく、爪が少しだけ皮膚に食い込んでいる状態です。中等度の巻き爪になると、痛みが強くなり、爪が深く皮膚に食い込んで炎症を起こしている状態で赤く腫れることがあります。また、重度の巻き爪になってしまうと激しい痛みが起こり、膿が出ることもあります。皮膚が大きく傷ついてしまうことがあります。
軽症の場合は様子を見ることができますがひどくなる前に病院で診てもらうとよいでしょう。病院では巻き爪の状態や痛みのある部分を診察し、炎症や腫れの状態を確認できます。必要に応じて軟膏や飲み薬等、治療の方針を直接相談することができます。保険証に併せて、アレルギーや持病のある方はお薬手帳を持ってきてくださいね。
予防として日頃生活で気を付けるポイントは3つあります。まずは、①爪の正しい切り方です。そして、②足に合った靴をはくこと、③足や体をきれいにすることが大切です。
切り方のコツですが、足の爪はまっすぐに切りましょう。両端を深く丸く切ると巻き爪になりやすいです。爪の角を少し残すようにして切ることがポイントです。また、足に合った靴を履きましょう。きつすぎる靴や高すぎるヒールは避けてください。足先に適度に余裕がある靴歩きやすい靴が良いです。足をこまめに洗い、清潔に保ちましょう。爪の間や足の指の間もしっかり洗ってください。
また、足の爪だけではなく全身に効果のある事ですが、屋外での適度な運動も効果があると言われます。足の筋肉が鍛えられ、日に当たることで全身の免疫が高まり、代謝が良くなり、巻き爪だけでなく全身の病気を予防することができます。おまけにビタミンDの活性化で骨も丈夫になります。過ごしやすい時間での散歩やストレッチなど、無理のない範囲で運動を取り入れましょう。
まずは定期的に爪をきりましょう。その時に爪の様子も確認し、早めにケアすることが大切です。巻き爪の初期段階で対処することで、悪化を防ぐことができます。繰り返しになりますが、もし巻き爪の痛みが続く場合は、お近くの医療機関を受診してくださいね。
啓和会では地域のみなさんの医療と介護の連携でみなさんが健康で自分らしい暮らしを送れるようお手伝いをしてまいります。困ったことがあればぜひご相談ください。

参考:
日本皮膚科学会:巻き爪の治療と対策https://www.dermatol.or.jp/qa/qa38/q08.html
NHK今日の健康:解決足のトラブル「巻き爪」https://www.nhk.jp/p/kyonokenko/ts/83KL2X1J32/episode/te/P2GNNRLW92/

胸の下あたりがギューっと痛くなる(63歳女性)

Q : 左の胸の下あたりがギューっと痛くなることがあります(63歳女性)
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A:胸の痛みはホント心配ですよね。胸から胃にかけて丁度みぞおちのあたりを専門的には心窩部と言いますが、このあたりが痛くなって気になる場合、痛みの具合や続き方にもよりますが、一度医療機関への相談をお勧めします。
特にすぐに対応が必要なのが狭心症や心筋梗塞、心筋炎や心膜炎です。 これらは心臓に十分な血液が供給されないため、心臓の筋肉や包み込む膜に異常が起こることで痛みが起こります。数分以上続く場合、冷や汗が出る場合、初めてでわからない場合などは、すぐに消防や医療機関に相談してみてください。また、みぞおちからお腹の上の方では消化器系の問題の場合もあります。胃潰瘍や逆流性食道炎では胃酸が食道に逆流することでいわゆる”胸やけ”や刺すような痛みを引き起こすことがあります。また、胆嚢に問題がある場合では肝臓のある側、右側に痛みが出ることが多いですが、左側にも広がることがあります。その他にも肋間神経痛や腹筋の痛みだけでなく、ストレスに対する反応や不安感などが原因で、胸の痛みを感じることもあります。
いずれの原因にしても、初めてこのような痛みが起こる場合や、時間が長く続くもの、頻繁に起こる場合や、他の症状(息切れ、めまい、吐き気など)を伴う場合は、医療機関に相談、受診しておくことをお勧めします。
日常生活で出来る予防法としては、食事、運動、睡眠、禁煙、適度な飲酒、ストレス対策が重要です。バランスの取れた食事を心がけ、ビタミンや繊維の豊富な野菜、果物、全粒穀物、そして加工の少ない、ささみなどの低脂肪のタンパク質、新鮮な魚やオリーブオイル、えごま油などの質の良い油もお勧めです。また、味付けも注意が必要です。過度な塩分、脂肪分や糖分を控えることで、心臓病や消化器系の問題を予防できるでしょう。週に150分以上の中等度の有酸素運動(ウォーキング、サイクリングなど)を目指しましょう。筋力トレーニングも体力に合わせて、週に2回以上取り入れると好ましいでしょう。喫煙は心臓病や呼吸器系の病気のリスクを高めます。気になる人はいつでもぜひ、禁煙を始めてみましょう。アルコールの摂取は適度に抑えましょう。女性は1日に1杯まで、男性は2杯までが目安です。そして睡眠、スポーツ選手や受験生のパフォーマンスが向上するとして注目されています。ストレスを減らすためにリラクゼーション法としてストレッチ、入浴、ヨガ、瞑想などと併せて睡眠時間や睡眠環境を大切にしましょう。また、定期的に健康診断を受けることも大切です。自治体や会社からのお知らせに従って受けてください、受けた結果で再検査や要精査の判定があれば、結果をを放置せず医療機関で相談しましょう。
以上胸の痛みについてはまとめてみました。症状を軽視せず、自分を過信せず、適切なタイミングで医療機関を受診してくださいね。併せて日常的な健康管理と疾病予防を続けること(いったんやめてもいいので、また再開すること)がとても大切です。
啓和会では地域の専門医療機関と連携し、地域の皆様の健康を医療と介護の融合で支えてまいります。ぜひお気軽にいらしてください。

 参考情報
Mayo Clinic:
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/heart-disease/in-depth/heart-disease-prevention/art-20046502
厚生労働省:
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-005.html
世界保健機関 (WHO):
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/cardiovascular-diseases-(cvds)

最近、字を書こうとすると手がふるえることがあります

Q : 特に何もしていないのに字を書こうとすると手がふるえることがあります(72歳女性)

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A:日常では気にならないのに、ふとした折にきづく手の震え気になりますよね。手の震えにはどんな種類があり、どう対応したらよいのでしょう?

字を書こうとすると手が震えること、これは書痙、局所ジストニアなどと呼ばれることもあり、心理的な要因やシステムの異常など色々な理由で起こることがあります。熱心に一生懸命書こうとしたり、きれいな字を書かなければならないなどストレスを感じているとでやすいです。良い仕事をする時ほどまずは気分転換、リラックスして取り組む事をお勧めします。

一般的に、手の震えにはいくつかの種類があります。まず、生理的振戦と呼ばれるもので、普通のストレスや疲れで手が震えることがあります。これは誰にでも起こることで、特に心配はいりません。また、本態性振戦というものもあり、これは遺伝の影響があります。普段は震えないけれど、手を使うときに震えるのが特徴です。さらに、パーキンソン病や甲状腺の問題が原因で手が震える場合もあります。この場合は特別な治療が必要です。

では、どんな人が手の震えになりやすいのでしょうか。まず、ご年配の方です。お年を取ることで筋力の低下や神経のシステムに影響が出て、手が震えやすくなります。次に体質です。家族に手の震えの病気がある場合、その影響を受けることがあります。そして、特定の病気がある人も手の震えが出やすいです。例えば、パーキンソン病の人は安静にしていても手が震えることがありますし、甲状腺が過剰に働く甲状腺機能亢進症の人も同様です。また、神経の病気等、例えば小さな脳梗塞や多発性硬化症 (MS)等も手の震えから診断につながることもあります。さらに、一部の薬を飲んでいる人も手が震えやすいです。特に精神安定剤や抗うつ薬などの薬が原因となることがあります。アルコールやカフェインを多く摂る人も注意が必要です。長期間多量に摂ると手が震えることがあります。そして、ストレスや不安が多い人も手の震えが出やすいことがあります。

では、どうすれば手の震えを予防できるのでしょうか。まず、ストレスの原因と反応を調整すことが大切です。足湯やカフェで読書やおしゃべりなどリラックスする時間を持ち、深呼吸やストレッチ、好きな趣味を楽しむことを心がけてください。次に、バランスの良い食事を心がけましょう。繊維やビタミン、タンパク質など栄養バランスの取れた食事で体の調子を整えることができます。そして、十分な睡眠を取ることも重要です。長さだけでなく”良く寝たな”と感じる熟眠感を目安にしてみるとよいでしょう。さらに、適度な運動をすることも健康に良いです。無理のない範囲で運動習慣を取り入れることが大切です。

もし手の震えが気になる場合や症状が続く場合は、医療機関に相談することをお勧めします。病院では、まずいつ手が震えるのか、他にどんな症状があるのか、日常生活の中で困っていることは何かを聞かれることがあります。

啓和会では地域の皆様の”日頃の困った”に耳を傾け医療と介護のサービスで暮らしを支えてまいります。ぜひご相談にいらしてください。

参考】
手の震え 長寿医療研究センター 手の震え | 国立長寿医療研究センターhttps://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/03.html

(症状編)ふるえ 日本神経学会
https://www.neurology-jp.org/public/disease/fuzuii_detail.html

Parkinson disease 世界保健機関
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/parkinson-disease

Essential tremorメイヨークリニック
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/essential-tremor/symptoms-causes/syc-20350534