Q : 軽い運動をするとすぐ膝に痛みを感じ、長く歩けません。治らないのでしょうか?(70歳男性)
A:膝の痛みについてのお悩みですね。運動したいのに、膝が痛くて思うように動けない。そのもどかしさと膝の痛みは体だけでなく、気持ちにも負担をかけているのではないでしょうか?
まず、年齢を重ねた方が、ちょっとした運動ですぐに膝が痛くなり、長く歩けなくなってしまう原因として最も多いのは「変形性膝関節症」と呼ばれる病気です。これは、年を取るとどうしても膝の関節の軟骨がすり減り、関節の形が少しずつ変わってしまうために起こります。その他にも、膝の周りの筋肉が弱くなったり、筋肉や腱の柔軟性がなくなったりすると、痛みが出やすくなります。もし、以前にケガをしたことがある方なら、半月板や靭帯が傷ついていることが原因の場合もあります。また、リウマチや痛風のような病気でも膝の痛みが出ることがありますし、年を取ると骨ももろくなりますから、骨折や骨の病気にも注意が必要です。
日常生活の中でできることもあります。膝を冷やさないように気をつけることは大切です。寒いと関節はこわばりやすくなり、痛みも強くなりがちです。体を温めて、心地よく過ごしてください。運動は、リハビリと併せてお勧めされています。自分の調子を見ながら続けることが大切です。たとえば、ウォーキングやストレッチ。膝に負担をかけない方法で、動かすことが大事です。また、詳しくは整形外科やリハビリの先生に聞くことをお勧めしますが、太ももの筋肉、特に大腿四頭筋を鍛えるような運動をすると、膝を支える力が強くなります。体重をコントロールすることも大切です。体重が増えると、そのぶん膝にかかる負担が増えてしまいます。靴もクッション性のあるものを選び、膝への衝撃を和らげるようにしてみてください。もし膝が腫れていたり、熱を持っていたりするなら、無理をせずに休むことを優先してください。
それでも膝の痛みが続くときや、腫れや熱感があるときは、病院に行って診てもらうことがとても大切です。レントゲンやMRIといった検査で、どんな原因があるのか詳しく調べてもらえます。専門の先生に相談すれば、必要な治療や、どんな運動をしたらいいかも教えてもらえます。自分の膝の状態を詳しく知りたいとき、膝が腫れて熱を持っているときは、迷わず病院を訪ねて検査や治療について相談してくださいね。
自分の膝の状態を正しく知ることは、安心してこれからの日常を過ごすための第一歩です。どうか、痛みを我慢しすぎず、近くの先生に一度相談してみてください。膝の痛みを抱えていても、工夫とケアで心地よく過ごせる日々がくることを願っています。啓和会は医療と介護の融合で、みなさまの痛みや辛さに寄り添う総合サービスを提供しております。整形外科外来では曜日ごとに手、肩、腰、膝等の各専門医が、日々の怪我から関節の変性疾患まで地域の総合病院と連携しながら幅広く対応しております。ぜひご相談にいらしてください。
参考)
日本整形外科学会「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」 OARSI(国際変形性関節症学会)ガイドライン