季節の変わり目、身体がダルくてしかたありません

Q : 季節の変わり目や天気がはっきりしない時など、身体がダルくてしかたありません(59歳男性)
darui_man

 A : 暖かくなったり急に冷えたり。春や秋の季節の変わり目は頭痛、関節痛、倦怠感などの不調を訴える方もいらっしゃいます。外来では頭痛症、腰痛症、めまいの病名を付けながらお薬や検査のための紹介などで対応することが多いところです。
一方でこれらを「気象関連病」と呼び、湿度、天気、気圧などの環境変化が自律神経等に影響を及ぼし体調不良を引き起こしているとする考え方もあるようです。リウマチの患者さんの気候と痛みに関連する報告を調べた結果、天気が痛みに影響しているとは言い切れなかったが一部のリウマチ患者さんで”気候の影響を受けやすい集団”がいる可能性は否定できないとするレビューがある一方。気圧の変化と低音環境が慢性疼痛に影響する仕組み、メカニズムに関する報告もありました。果して「気象関連病」と呼んでいるのものが何かは確証がないままですが、個人的な意見としてご質問者へ向けて簡単に回答させてください。
①季節の変わり目に関して
季節の変わり目に身体がダルく感じるのは、自律神経の乱れ以外にも、アレルギー反応が関係している場合があります。春や秋の季節の変わり目は、春にはスギ、ヒノキ、秋にはブタクサ、イネなど花粉症やダニ、ハウスダストなどのアレルギー物質が多くなります。それらによって起こるアレルギー反応が疲労感やだるさを引き起こす可能性があります。これは、アレルギー反応で、炎症や免疫応答が起きエネルギーを消耗しているのかもしれません。対策として、アレルギー物質への対策をしましょう。アレルギーの原因となる花粉やダニなどから自分を守るための対策を取りましょう。例えば、花粉が多い日は外出を控える、室内の清潔を保つなどです。また、アレルギー反応が強い場合は、専門医に相談して適切な治療につながることが期待できます。免疫反応など詳しい検査や新しい薬による治療や、症状を和らげるための環境調整などを講じることが出来るかもしれません。そして、リラクゼーションも重要です。リラクゼーション効果の高いアロマテラピーを利用したり、ゆっくりとした音楽を聴いたりなど、気晴らしをしてリラックスし自律神経のバランスを整えましょう。
②天気がうつろいやすい時に関して
天気がコロコロと変わる時に体調を崩しやすい「気象関連病」と言えるかもしれません。天候の急激な変動は、頭痛やめまい、関節痛などを引き起こすことがあります。これは、正確な機序は不明なものの温度や気圧、気候の変化が直自律神経の働きに影響し、体内の様々なバランスを乱すためと考えられています。環境調整や適度な運動、が対策としておすすめです。急激な変化による不快感を和らげるためには、お仕事でもプライベートでも過ごしている部屋の温度や湿度を適度に保つことが有効です。加湿器や空気清浄機を上手に使ってくださいね。軽いストレッチやウォーキングなど、体を動かすことで血行や代謝を促進し、自律神経のバランスを整えることができます。季節の変わり目や天気の変動による体調不良は、日常生活の中で少しの注意や工夫で改善できることが多いです。しかし、症状が長引く場合や日常生活に大きな支障をきたす場合、鉄欠乏性貧血、甲状腺機能低下症、慢性疲労症候群、自己免疫疾患、低栄養や睡眠障害、その他精神疾なども考えられますので地域のかかりつけ医師にぜひご相談ください。必要な時は適切な専門の医療機関を紹介してもらえるでしょう。困ったときは、まずは受診を考えて頂くことが重要です。自己判断で放置せず、適切なアドバイスや治療を受けましょう。
啓和会では、優しい受付スタッフと優秀で心暖かい医療職のスタッフが、晴れの日も雨の日も、風邪の日も皆様のお越しをお待ちしております。もちろん、地域の各科専門医、大きな総合病院とも連携しておりますので、お困りの際にはぜひご相談にいらしてください。

【参考】
佐藤純「気象関連性疼痛のメカニズム」『PAIN RESEARCH』第34巻第4号、日本疼痛学会、2019年、312-315頁
Smedslund, G; Hagen, KB (January 2011). “Does rain really cause pain? A
systematic review of the associations between weather factors and severity
of pain in people with rheumatoid arthritis”. European Journal of Pain. 15(1): 5-10.

身体がダルく、微熱が1週間ほど続いています

Q : 最近、身体がダルい日が多く、微熱が1週間ほど続いています。(63歳女性)

 A : ダルさ=倦怠感・疲労と微熱ですね。診察室へも多くいらっしゃいます。今週はお出かけが続いて日中頑張りすぎたのか、夕方から始まる倦怠感と微熱に悩まされますが、朝になると幾分かよくなっている時にはどうしたらよいのか、いっしょに考えてみましょう。
倦怠感・疲労を訴える成人人口は1割から3割にも登ります。いつから症状があるのか、そして眠気や呼吸困難、筋力低下などほかの症状に有無が重要です。また 微熱は一般的に腋下温37.4℃までの体温上昇を言い、病的な発熱と、病的意義のないものの両方が含まれると言われます。原因や経過についてご本人といっしょに記録して、経過を追いながら考えてゆくことが大切で、時には体温表(熱型表)につけていただくこともあります。
微熱は自然軽快することがあるので、経過観察とすることが多いですが、苦痛が強い場合には、解熱剤を使います。一方で微熱は感染症や膠原病、薬剤熱などが原因のこともあり必要に応じて専門科と相談しながら診療にあたってゆきます。
また、倦怠感・疲労と切っても切れないのが睡眠障害です。眠るときには部屋を暗くしていますか?テレビやラジオ、携帯電話・タブレット等を寝室で使用していませんか?高齢の方は日中に明るい窓際で過ごし、昼と夜のリズムを付けることも重要です。睡眠障害は入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒などに分けられますが、自分にあった睡眠時間の確認や睡眠時の無呼吸の有無も治療方針にかかわってきます。もし、単純な睡眠時間の不足であれば、睡眠時間の確保、かたや時間がない方は日中30分以内の仮眠が効果的です。
6カ月以上継続する疲労は「慢性疲労」と呼ばれ、精神科的な疾患も考慮し専門科への相談も考えながら診療してゆきましょう。
当院内科では主に身体的な疾患については血液検査や画像検査を組み合わせて診断と治療を行ってゆきます。軽度の貧血やビタミン不足から眠気や倦怠感・疲労が見られることもありますので、ご相談者様もご家族様も健康診断からぜひご相談ください。(金崇豪)

参考文献
◇鈴木智晴 徳田安春 疲労・倦怠感 今日の臨床サポートhttps://clinicalsup.jp/jpoc
◇横江正道 野口善令 微熱  今日の臨床サポート
https://clinicalsup.jp/jpoc