昨年、ワクチンを打ったのにインフルエンザに・・

Q:インフルエンザのワクチンは毎年打っていたのですが、昨年はインフルエンザにかかってしまいました。友人にはワクチンは打たなくてもいいって言われたのですが、本当のところどうですか?(40歳女性)

 

A : 判ります!いま足りないと言われているワクチンを健康な自分が打つ必要があるのか?なんて健全な疑問でしょう!!
口や鼻、眼の粘膜から体の中に入ったウイルスは細胞内に侵入して増殖します。この状態を「感染」といいますが、ワクチンはこれを完全に抑える働きはなく、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は60%と報告もあります(6歳未満の小児対象)。つまり、現行のインフルエンザワクチンの最も大きな効果は、「重症化」を予防することと言われています。また、質問者様は健康でもご自身の身の回りの方で感染症が重症化しやすい状態の疑われる方がいらっしゃれば、皆でワクチンを接種しておくメリットはあるとも言われております。
また、ご存じのとおり60歳以上の方で心臓、腎臓や呼吸器、免疫に障害をお持ちの方や65歳以上の方は定期予防接種の対象となっております。川崎市在住の65歳以上の方は、平成30年1月31日まで市から補助を受けることもできます。

H.29年度のインフルエンザ予防接種

健康診断の数値が結構変化します

Q : 健康診断は毎年1回、3月ごろ受けていますが、数値が結構変化します。正しい健康診断の方法というのはあるのでしょうか?(65歳女性)

 

A : 健康診断の前日はどう過ごしたらいいか。とても大事なところですね。私の周りには検査の数週間前から生活を節制し万全の態勢で臨む方もいらっしゃれば、あえて体に負荷をかけてそれでも正常値になるかどうか試す!なんていう方も!?
ここでは飲酒、食事、運動について一般的な目安を紹介したいと思います。
まず、飲酒によって尿検査や、血液検査に影響が出ることがありますので、うっかり飲んでしまった場合は、気づいた時点ですぐにやめて、水分を摂りましょう。
また、食事では糖や脂質などの血液検査の値が影響を受けます。健康診断の開始時間にもよりますが、約10時間前から食事を抜くことが基本です。これは、胃や血液の「空腹時の状態」を検査するためです。ただし、検査内容によって前後するので、事前に渡される案内書をしっかりと確認しましょう。特に胃カメラ・腹部レントゲン(バリウム)などの検査をする場合は食事時間を必ず守り、万が一間違えて食べてしまった場合は検査前にご相談ください。
最後に、運動で影響を受ける血液検査には筋肉や肝臓の値と尿検査の尿タンパクなどが含まれます。持久走や水泳など激しい運動は避けましょう。
以上になりますが、言ってみれば特別な食事や生活をする必要は全くなく、普段通りが一番と言えるでしょう。当院も外来で健康診断を行っております!普段は病院に足が向かない方も気軽にご相談ください。(金崇豪)

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寝違えが多くなりました

Q : 寝違えが多くなりました。しかもなかなか治りません。スマホゲームのやりすぎとかが原因の可能性もあるのでしょうか?(43歳男性)

A : 実は、私の周りにも飲み会の翌日など、首を痛がる人が沢山います。寝違えは、睡眠時の姿勢により頸部にある筋肉や関節などの周りの組織を損傷することで痛みを伴うようです。また、スマホやタブレットを前のめりで覗き込むことで、頚椎の自然な後弯カーブが失われる「ストレートネック」という状況になり、それが原因で寝違えを起こしやすいとも言われています。寝ている間と言えば、抱き枕をわきに挟んで寝た際に神経が圧迫されて腕が動かなくなった報告も以前学会でありました。むむむ。。。寝る姿勢、、、侮れません。
症状が悪化する場合もあるため、無理な運動は控え、安静が必要です。数日以内に症状が取れない場合や、堪え難い場合、また、眩暈や手足のしびれ、麻痺などの他の症状が伴う場合は感染や炎症、腫瘍、神経の圧迫、腱板断裂、関節リウマチ・リウマチ類縁疾患なども考えられますので、受診することをお勧めします。(金崇豪)

物忘れに効く漢方があると聞きました

Q : 物忘れに効く漢方があると聞きました。身体への負担も少なそうなので試してみようと思うのですが・・。(52歳女性)


A :
スマートフォンなど生活が便利になるにつれ、思い出そうとしても昔のように漢字、電話番号や知人の名前が出てこなかったりしますよね。こういった物忘れは西洋医学的には軽度認知障害(MCI)にあたるでしょうか。認知症のように日常生活動作や自立した生活に障害を来すことはなくとも、やはり気になりますよね。
当院の物忘れ外来でも症状によっては漢方薬を使うこともあります。中でも、八味地黄丸は物忘れと足腰の冷え、遠志(オンジ)を含む帰脾湯は物忘れと貧血に効果が期待できるようです。当院物忘れ外来へはおひとりでお悩みの方も、ご家族が心配されて来院する方もどちらも多くいらっしゃいます。気になることがあればお気軽にお越しください。今お使いのお薬のご相談や画像検査を含めた専門科の紹介にも柔軟に対応いたします。(金崇豪)

夜なかなか眠れません。仕事中も身体がダルく・・・

Q : 朝が早い仕事に転職したのですが、夜なかなか眠れません。仕事中も身体がダルく、なんとかしたいと思っているのですが・・。(46歳男性)

A : 「人はその人生のおよそ3分の1を眠って過ごす」なんて話ありましたよね。睡眠は健康にとって非常に大切で、認知症や生活習慣病リスクとの関連性も話題に上がっています。不眠症とは適切な時間に寝床に入っているにもかかわらず、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒など睡眠困難があり、日中の生活の質が低下する状態をいいます。その治療の目的は「眠りたいだけ眠ること」ではなく、日中の不調、疲労感、集中困難、眠気などの症状を改善することにあります。
質問者様も転職して心機一転とはいえ、急な環境の変化はそろそろつらいお年頃でしょうか。みなさんも睡眠でお困りでしたらぜひ、内科外来にお越しください。非薬物的なケアから薬物治療まで相談に乗らせていただきます。また、高齢で外来通院が困難な方には訪問診療も積極的に行っておりますので併せてご相談ください。(金 崇豪)

目がかすんで信号の矢印がボヤけます

Q : 郊外なのでクルマが欠かせない毎日です。視力検査では大丈夫なのですが最近目がかすんで信号の矢印がボヤけることがあります。夜は乗らないよういしています(59歳男性)

A : ミドルの方々に多い悩み、眼のかすみですね。視界が全体的にかすんで見えることを専門的には霧視といいます。解剖学的に視覚情報が通る経路、角膜~前房~水晶体~硝子体~網膜のどこかに生じる濁りが原因と言われます。かすんで見えるけど少し時間がたつと治る場合は、メガネ・コンタクトレンズの矯正不良、ドライアイ、後部硝子体剥離などがあり、数分たっても改善しないときは白内障、緑内障、眼精疲労、眼底出血、黄斑前膜、視神経症、視神経炎などが考えられます。このうち、眼精疲労を引き起こす環境要因としては、パソコンモニターの高さや映り込み、部屋の明るさ、乾燥、エアコンやパソコン、周辺機器が発する騒音などが挙げられます。さらに、日中長時間パソコンや書類など、近くにピントを合わせ続けると夕方になり遠くが見えづらくなる「調節異常」と言われる専門的な病気もあるようです。
これらの原因ですが、働き盛り50代、相談者様に心当たりはございませんでしょうか?一般的に、急に見え方が悪くなってきた場合(数時間、数日単位)は急いで対処しないといけない病気であることも多いので、早めの専門医受診がよいと言われます。ご自身だけでなく、ご家族の方で気がかりなことがあれば遠慮なくご相談ください。当院内科外来では専門科と連携しながら相談に乗らせていただきます。(金 崇豪)

40歳のころから髪が薄くなり始めました

Q : 40歳のころから髪が薄くなり始めました。ケアはいろいろ試みていますがあまり効果はありません。やはり遺伝なのでしょうか?(46歳男性)

A : 壮年期男性は人生の中盤戦!面白くもあり、悩みのたねも増えますね。以前は病気として認識されなかった男性型脱毛症は(AGA: Androgenic alopecia)と言われ、長い遺伝子配列のなかの核酸結合の変異が原因と言われています。AGAでは毛包が進行性に小型化することで、毛髪が軟毛化します。円形脱毛症や休止期脱毛症なども鑑別に挙がりますが、前頭部、頭頂部に脱毛部が多いことから比較的容易に診断できます。
確かに、「生え際が後退しているのではない、私が前進しているだけだ。」という強気なご意見を耳にすることもあります。ですが、気になるようでしたらぜひ、内科外来にご相談ください。なお受診の際は自費診療となる旨、ご了承ください。(金 崇豪)

ラーメンを食べた後、身体が痒く・・・

Q : 魚介豚骨ラーメンを食べた後、身体全体が痒くなってしまいました。弟が甲殻類アレルギー持ちなのですが、突然症状が出るものでしょうか?(31歳男性)

Q : ズバリお答えします。大人の食物アレルギーは突然やってきます。少し難しい話になりますが、Ⅰ型(即時型)のアレルギーではIgEといわれる抗体量が体内で徐々に増加・蓄積されていき、一定の量(閾値)を超えたときから発症するようです。大好きな蕎麦が突然食べられなくなった!そんな方もいらっしゃるかと思いますが、一口にそばといっても、その原因は血液検査してみないとわかりません。めんつゆなら大豆、小麦、魚介。そばはソバ、小麦。食器に付着していたカビ(!?)、ダニ(!?)。失礼、少し怖い話になってしまいました。
さて、成人の食事アレルギーですが、ある報告によるとⅠ型(IgEを介する)は成人の2%近くが持っており、小児よりは治りにくいと言われます。一方で食餌タンパク質不耐性腸炎はむしろ小児に多いようです。成人食事アレルギーの原因としてはキウイ、バナナ、モモなどの果物、甲殻類、魚介類、小麦粉、そばが多いと言われます。また、症状としては口の周りやノドの違和感、皮膚の赤みかゆみ、まぶた・唇の腫れ、くしゃみ・咳に腹痛、嘔吐、下痢と皮膚、呼吸器、消化器症状が多く出ます。
自身の体調が悪い時、食後に激しく運動した時などに症状が誘発されることもあり、体調に気を付けましょう。時にアナフィラキシーショックという危険な状況になることがあり注意が必要です。
相談者様は魚介?とんこつ?ラーメン?何かのアレルギーがあるのでしょう。現段階ではお答えすることは難しいですが、当院でも症状に応じて専門科紹介も含めて内科外来で対応しております。ぜひご相談ください。(金 崇豪)

少しお酒が入っただけで目まいが

Q : 少しお酒が入っただけで目まいがする時があります。以前はなかったのですが、病院で調べてもらった方がいいでしょうか?(38歳男性)

A  : 「少し」の量には個人差があるように思います(笑)が、めまい、ふらつきは実は注意が必要な症状です。繰り返すようであればぜひ病院で調べてもらってください。耳や首が原因のめまい、小脳など中枢神経が原因のめまい、心臓が原因でふらつきが出ることがあります。
めまい(dizziness)は、回転性めまい(vertigo)、前失神(presyncope)、不安定性めまい(平衡障害[disequilibrium]とふらつき[light-headedness])の4つに分類されます。相談者様の「目まい」はどのような質の「めまい」でしょうか。目が回る、ふらつく、ふわふわする、目の前が暗くなる、気が遠くなる感じがする、などその症状に応じて原因が推測されます。めまいに随伴して脳神経所見(脳幹症状)、指鼻試験・踵膝試験(小脳半球症状)、歩行失調・継ぎ足歩行(小脳虫部症状)が出ているか注意深く見てもらうとよいでしょう。お困りの症状があれば専門科紹介と合わせて診察させていただきます。ぜひご来院ください。(金 崇豪)

糖尿病、遺伝する率は高いのでしょうか?

Q : 亡くなった父が糖尿病だったのですが、遺伝する率は高いのでしょうか?最近は砂糖を控えたり、ご飯の量を減らしたりしています。(46歳男性)

A : 気になりますよね、生活習慣病。46歳ですと働き盛り、食べ盛り(?)でおなかが気になる今日この頃でしょうか。実は、一口に糖尿病といっても1型糖尿病と2型糖尿病は原因の異なる病気です。生きるために絶対に必要なインスリン(ホルモン)が何らかの原因で分泌できなくなった1型糖尿病と、肥満・加齢・運動不足などによって少しずつ分泌不足、作用低下になる2型糖尿病とがあります。
病気の原因については、1型・2型のいずれも発病の背景となる遺伝子異常に加えて、発病の引き金になる環境(生活習慣など)があると言われます。1型と比べて2型糖尿病は遺伝リスクが大きいこともわかっています。
遺伝するのは糖尿病そのものではなく 「糖尿病になりやすい体質」です。この体質を持った人に、食べ過ぎ、運動不足、肥満、加齢、ストレス、感染症などさまざまな環境因子が加わってはじめて糖尿病が発症すると考えられます。2型糖尿病の原因となる遺伝子異常は何種類かの軽い異常が多数積み重なることによってその体質を形成している「複合遺伝」といわれており、糖尿病の遺伝的素因は複雑だと言われています。また、2型糖尿病を含め、成人病には遺伝的素因の他に、食習慣、運動不足、肥満、ストレス、酒・たばこなどの嗜好といった環境的要因が大きく影響します。
民族で比べると、幸運なことにアジア人は欧米の白人と比べる1型糖尿病のリスクは低いのですが、残念なことに2型糖尿病では肥満が軽度なのに糖尿病になる例が多いと言われます。
さて、糖尿病の合併症の多くが腎症、網膜症など比較的小さな血管の障害が中心であり、糖尿病は実は血管の病気であるとさえいわれます。また、糖尿病と並ぶ生活習慣病の一つ、高脂血症などによる動脈硬化は心筋梗塞、脳梗塞などの原因となり大血管の障害も見逃せません。下肢への血行が原因で歩行障害や下肢の切断にもつながることがあります。
「糖尿病は治らない」 とよく言われますが、これは真実です。しかしながら合併症が出ないように管理しながら上手に付き合えば糖尿病に負けずに生きてゆくことは可能です。
糖尿病に負けない最善の手段は、言うまでもなく発症を未然に防ぐことです。そのためには定期検診を受けましょう。 検診で糖尿病そのものが発見される場合や、糖尿病になりやすい体質を指摘される場合もあります。 肥満、食べ過ぎ、運動不足、お酒の飲み過ぎといった危険なライフスタイルについて注意を受けることもあるかも知れませんが、それを機会と捉えて生活習慣の改善につなげましょう!!
糖尿病は家族歴がなくても安心してはいけません。特にアジア人は高リスクの民族です。ぜひご相談ください、内科外来でお待ちしております。(金崇豪)