最近朝起きると痛くて動けない

Q :若い頃から腰痛持ちでしたが、最近朝起きると痛くて動けないことが時々あります。(69歳男性)

A :つらいですね。 腰の痛みも長年の付き合いとなると、ここは無理をしちゃいけない勘どころがわかるようになります。
朝、特に起床時に腰が痛くて動けない状態で急性腰痛症。いわゆる「ぎっくり腰」はよくあるお話です。寒い朝や疲れているときなど、急に起き上がらず体をほぐしてから起き上がることが肝要です。それ以外にも「椎間板ヘルニア」や「脊柱狭窄症」などの可能性が考えられます。そのような場合、まずは安静にして様子を見る、痛みが強い、または動けない状態が続くなら、医療機関へ連絡しましょう。また必要に応じて痛み止めを使用して収まらなければ相談するのもよいでしょう。一方、痛みから症状が進んで、腰から先の足やふくらはぎ、太ももの重さ・だるさ・イタしびれ、感覚が鈍ることもあります。また、筋力が落ちて足が上がらなくなり歩く事、立つこと、運転など日常動作に差しさわりが出るような場合には専門医から検査・治療設備の整った施設への紹介が必要になることもあります。
いつものことだからと油断せず、日頃からかかりつけの整形外科をお持ちになってはいかがでしょうか?啓和会では、整形外科で専門医の診察及び理学療法士のリハビリを受けることが出来ます。もちろん、地域の手術が出来る各病院とも連携しております。地域の皆様の暮らしのなかの「困った」に喜んで対応いたしますので、ぜひご相談にいらしてください。

【参考】
日本整形外科学会「ぎっくり腰」:
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/acute_low_back.htmlMayo Clinic “Herniated disk”
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/herniated-disk/symptoms-causes/syc-20354095

最近、左中指の動きがカクカクすることが多くなりました

Q :最近、左中指の動きがカクカクすることが多くなりました。ストレッチしていますが、何か効果的な治療はありますか?(66歳男性)

A :手指の動きがご質問いただいた症状は「バネ指」の可能性があります。「バネ指」は、指の曲げ伸ばしを制御する腱とその通り道の異常で発症します。専門的用語では屈筋腱と靭帯性腱鞘というものが、丁度ベルトとベルト通しに似た機構で指を曲げ伸ばししているのですが、指の付け根で屈筋腱と靭帯性腱鞘の間で炎症が起こり腱鞘炎になることで動きがスムーズでなくなります。更年期女性や、手指をよく使う人、糖尿病やリウマチや透析患者さんにもにもよく発生すると言われ、親指、中指に多くその他の指にもみられることがあります。初期段階では、休息や抗炎症薬、スプリント(固定具)を使用した保護などで改善することがあります。しかし症状が続く場合は、専門的な診療が必要となります。

啓和会では、整形外科外来の診察及びリハビリを受けることが出来ます。地域の手術が出来る病院とも連携しております。地域の皆様の手や足の指に関する小さな「困った」に総合的に対応いたしますので、ぜひご相談にいらしてください。

参考:Mayo Clinic “Trigger Finger”
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/trigger-finger/symptoms-causes/syc-20365100

日本整形外科学会ホームページ

https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/snapping_finger.html

膝を擦りむいてしまいました。なかなか治りません

Q : 雨の日に転んで肘と膝を擦りむいてしまいました。なかなか治らず、跡が残ったりするのが心配です。いまからでも病院で治療した方がいいでしょうか?(37歳女性)

A :雨の日や風の日、躓いて転ぶと大けがにつながることもあります。お気を付けくださいね。まず、自宅での基本的なケア(清潔に保つ、抗生物質軟膏の使用など)を十分に行なうことが肝心です。さらに痛み、赤み、腫れなどが増大し、患部が改善しない、または悪化する場合は、感染の可能性があり治療が遅れることがあります。解らないことがあれば医療機関を受診することをお勧めします。具体的な治療法は皮膚の状態や深さにより異なるため、専門的な評価が必要となります。
啓和会野末整形外科歯科内科では、地域の形成外科や皮膚科等専門医とも連携しており、骨折を含めて地域の皆様の様々なお怪我についても保険診療を受けることが出来ます。お困りの際にはご相談ください。

参考 https://www.mayoclinic.org/first-aid/first-aid-cuts/basics/art-20056711

ストレス解消にお酒を飲むと逆流がつらい

Q : ストレス解消にお酒を飲むと逆流がつらいです。(40代男性)

A :こんにちは、40歳は働き盛り!景気の波も芳しくない昨今ですが、よほどストレスのたまるお仕事に従事されておられるのでしょうか。お察しいたします。ストレスがたまる、お酒を飲む、胃酸が逆流する。マルチな問題に困っておられる質問者様に少しでもお答えできればと今回は、飲酒を軸にストレス・逆流性食道炎について調べてみました。

ストレス解消に飲酒は効果的でしょうか?アルコールを飲むと陽気な気分になる、元気が出る、寝酒は必須!という声が聞こえてくるようです。一方で二日酔いのために朝食欲がでない経験もありませんか?少量の飲酒はネズミや人間でストレス反応を低下させるという報告もありますが、慢性的・過度の飲酒(アルコール使用障害)は脳下垂体―副腎皮質等の内分泌系からの作用でストレス反応を惹起することがわかっています。アルコールでストレス解消するつもりが、かえってストレス反応を増している可能性があります。

また、飲酒は胃酸の逆流を起こりやすくするため、逆流性食道炎のリスクです。症状は胸やけや胸痛、飲み込みづらさ、咳、喉頭炎、また逆流で目が覚めることもあります。原因は食道から胃への括約筋が緩むことで起こる胃酸の逆流です。食道裂孔ヘルニア、飲酒、喫煙、肥満、妊娠や膠原病がリスクとなりますが、軽症であれば市販薬で対応する方もいらっしゃいます。内視鏡や放射線検査などで診断し内服治療や症状によっては外科手術になる場合もあります。

世代のせいにするわけではないですが、私もアルコールで親交を深める文化(ノミニュケーション)で育ち、お酒は幅広く嗜みます。一方で、アルコール健康障害はメタボリックシンドローム、認知症、事故、若年者や女性における抑うつや自殺との関連があるとも言われます。まさに公衆衛生、医療の分野でアルコール対策は喫緊の社会要請です。

以前は依存症、アルコール使用障害の治療は抗酒薬併用を考えての“断酒”一択の治療でしたが、2010年代から取り組みやすい“節酒”から治療を始めることも選択肢となっているのが最近の話題です。

このストレスたっぷりの社会を生き抜くために“節酒”から始めるアルコール使用対策はいいことずくめのようです!!私も折に触れ“節酒”を自らに課す機械が増えております。質問者様も“節酒”から一緒に取り組みませんか?

当院では上部消化管内視鏡検査を予約の上で実施しております。介護と医療の融合で川崎市小田地区の皆様とともにある啓和会を引き続きよろしくお願い申し上げます。(金崇豪)

アルコールによる健康障害 | Alcohols | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
アルコール健康障害対策|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
Alcohol and Stress – Alcohol Alert No. 32-1996 (nih.gov)
Gastroesophageal reflux disease (GERD) – Symptoms and causes – Mayo Clinic

 

 

ストレスで気が落ち着かず眠れません

Q : 時節柄でしょうか、気が落ち着かず眠れません。ストレスは感じていますがどうしたらよいでしょうか?(32歳女性)

A : 30歳代は、職場環境や人間関係にも慣れて日常生活も軌道に乗るといわれる頃。周囲からの期待もあるのではないでしょうか?病気や家族・友人との出来事など沢山のことがストレスの原因になっていることでしょう。身体だけでなくメンタルの健康も当然心配になってきますよね。今回ご紹介するストレスへの対応が、一筋縄ではいかないこの時代をみんなで生き抜く一助になれば幸いです。

ストレスとは、もともと物理学の専門用語で、物体の外側からかけられた力によって歪みが生じた状態を言います。一方、普段私たちが「ストレス」と言っているものは、「心理・社会的なストレスの源、ストレッサー」のことを指しています。職場や家庭など生活のありふれた場面で、仕事や家事の作業や対人関係などの要因がストレッサーとなり得ます。これらによって引き起こされるストレス反応はポジティブ、ネガティブの2つに分類でき、更に心理面、身体面、行動面の3つに分けることができます。

例えば、集中力の向上、楽しさや活気の上昇、高揚感などのポジティブな心理反応に対して、活気の低下、イライラ、不安、抑うつ(気分の落ち込み、興味・関心の低下)などはネガティブな心理面での反応です。

身体面でのストレス反応には、力のみなぎる感じ、爽快感などのポジティブな反応から体のふしぶしの痛み、頭痛、肩こり、腰痛、目の疲れ、動悸や息切れ、胃痛、食欲低下、便秘や下痢に加えて不眠などさまざまなネガティブな反応があります。

また、単純作業における手際の向上、早めの睡眠や健康な食事や周囲の人への相談などのポジティブな行動変容も見られる一方で、逆にクリエイティブな業務における想像力や効率の低下、飲酒量や喫煙量の増加、仕事でのミスや事故、ヒヤリハットの増加などはネガティブな行動面でのストレス反応も見られます。

ストレスに対処する行動としては、ストレスそのものに働きかけてストレスをなくしてしまう根本的な方法や、自分自身の工夫や周囲への相談、ルールの変更などでストレスへうまく対応して解決する方法、さらにストレスによって発生した自分の不安感や怒りなどの感情を周囲の人たちに聴いてもらい上手に発散する方法などがあります。日頃からストレスが発散できるよう、趣味や生きがいとなるものを持つことや、なにかと協力してもらえる人間関係も重要となります。

自分自身でできる対処行動として大切なのは、まずストレスを受けている自分に気づく(気づいてもらう)ことです。そしてそのストレス反応が頭痛・動悸・不眠・飲酒増加・ヒヤリハットであることを知っておくことが有効です。もし自分や周囲の人が不安やイライラ、活気の低下、興味関心の低下にとらわれていることに気づいたら、その状態を責めることなくネガティブな感情から立ち戻り、最も大切な生きがいに沿って行動すること、意識的に周囲の人に親切にすること、呼吸法や瞑想、マインドフルネスなどネガティブな感情を和らげる方法をみんなで試してみましょう。時間をかけても練習する価値のある、あの世界保健機関WHOお墨付きの方法です!

質問者様は眠れず困っておられるようですね。睡眠も質と時間が重要です。まずは飲酒や夜のスマホなどを控えて、ストレッチやヨガなど適度な運動やリラクゼーションで睡眠の質を上げてみませんか?十分な睡眠がストレスからの回復には重要です。人にもよるようですが、個人的には3時間程度の仮眠ではなく、6、7時間程度の十分な睡眠時間をお勧めしています。作業の効率や気分にも良い影響がみられますよ。繰り返しになりますが、自分で対応しきれないときは決して無理をせず周囲の人たちの協力も仰いで、よりよい解決の糸口を目指しましょう。窮地に陥った時に相談できる人を持ち、適切なケアを適切なタイミングで受けることは我々が健康で効果的な社会活動を続けるために極めて重要です。

ストレスは、私たちが生きていく上で避けることのできないものですが、うまく対応することができれば自分や組織の成長にもつながります。気づきと工夫、思いやりは我々が人生を豊かに送る助けになります。みんなでこのストレスフルな現代社会を乗り切ってゆきましょう!
当院内科外来は専門医療機関とも連携しながら介護と医療を融合して、地域の皆様の健康生活をサポートいたします。お気軽にご相談ください。(金崇豪)

 

◇厚生労働省 こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
HOME>ストレス軽減ノウハウ
https://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh001/
◇Doing What Matters in Times of Stress: World Health Organization
https://www.who.int/publications-detail/9789240003927
◇睡眠時間が翌日終日の認知・運動機能に与える影響
ITヘルスケア 2008 年 3 巻 2 号 p. 96-105

コーヒーは健康飲料と聞きましたが一家全員お茶党です

Q:テレビや雑誌でコーヒーは健康飲料と聞きましたが一家全員お茶党です、かぜ以外では滅多に病院にお世話にならない私はコーヒーに乗り換えるべきでしょうか?(40歳女性)

A:結論から申し上げます。乗り換える必要はありません、お茶を楽しんでください。

今回はコーヒーについて調べてみました。日本にコーヒー豆が渡ったのは16世紀から17世紀。オランドとポルトガルから渡ったその飲み物は、当時の日本人には「焦げ臭くて苦く飲めやしない」ものでした。19世紀後半になって日本で初めての喫茶店ができ、知識人や文化人の交流の場となりました。経営安定のために月額50銭の「サブスク」が導入され、西洋建築2階建ての店内では食事や喫煙の共にコーヒーが供されていたました。大正時代に入ると、喫茶店には女給がサービスに就く特殊飲食店と、軽食やコーヒーを楽しむ純喫茶とにわかれました。前者は銀座や新宿、後者は神田や神保町と現代の街のテイストにも受け継がれていると思いませんか?

そんな喫茶店で淹れる飲み物、コーヒーは「大人の飲み物」の代表です。昔は「こら、カフェインは体に悪いからダメ!!」などと叱られながら、少しすすったミルクコーヒーの「背伸びした」味を思い出します。20年程前からコーヒーの健康への影響は大幅に見直されました。糖尿病や肝臓病さらには各種悪性腫瘍(がん)にまで健康増進の効果が認められています。折り紙付きの健康飲料としてコーヒーは医療関係者の中でも歓迎されています。その内クリニックの外来で処方するようになるなんて言う冗談を言う方もいらっしゃいますよ。

コーヒーに豊富に含まれるポリフェノール等の抗酸化作用が健康効果が強く、カフェインやアクリルアミドの含有量は1日4杯程度の量であれば気にする必要は無い様です。また、コーヒーの成分は口腔内や腸内の細菌叢の菌数や構成にも影響を与えており健康効果の研究がさらに進められています。

質問者様のように心臓や血圧、胃腸に大きな問題がない方は健康効果を期待してコーヒーを楽しんでみてはいかがでしょうか?繰り返しになりますが、お茶党の方は緑茶にも健康効果が見られるので、無理にコーヒーに変える必要はありませんよ。そして付け合わせを工夫してお砂糖や小麦は控えめに!

 

診療所では内視鏡検査や定期康診断など予防医療にも力を入れています。窓口や電話でのご相談やホームページをご参照ください。

 

啓和会は「医療」「介護」「福祉」の一貫した地域包括ケアで地域の方々の生活の質の向上を目指します。

 

◇旦部幸博 コーヒーの科学「おいしさ」はどこで生まれるのか?

◇history of coffee in japan https://en.goodcoffee.me/column/guest-columnist/history-of-coffee-in-japan/

健康診断で肝臓が悪いといわれ続けています

Q : 以前から健康診断で肝臓が悪いといわれ続けています。以前にお世話になった病院で脂肪肝といわれましたが薬はもらえませんでした。飲酒習慣はありませんが仕事が忙しく病院受診はつい後回しになってしまいます。健康のためにはどういうことに気を付ければよいのでしょうか?(34歳男性)

A:お忙しい中ご質問ありがとうございます!定期健診や人間ドックは受けただけではもったいない。健康診断の結果はぜひ活用しましょう。
肥満や高脂血症、血糖異常の合併に注意した生活習慣の改善と内科受診の組み合わせが健康生活の「肝(きも)」です。
職場などで定期的に行う健康診断は生活習慣病の項目もカバーしており、肝臓が悪い=肝機能障害の所見は受診者の15%以上、つまり6-7人に1人の方に見られます。飲酒の頻度は世代の流れでだんだん減っている中、アルコール以外の生活習慣を背景にした肝障害への対応はますます注目されています。

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)における肥満・生活習慣病合併の状況は性別年齢ごとの特徴があります。若い男性ではコレステロール異常(脂質異常症)、若い女性では高度肥満が多く、更年期以降の女性では2型糖尿病の合併が見られます。一方、肥満はメタボリックシンドロームの最も主要な症候であり、その肝臓病変であるNAFLD/NASHにおいても、肥満が最も重要な危険因子とされます。
専門的な指標での肥満とNAFLD/NASHの合併率について、ボディマス指数(BMI)23以下では10%、BMI 30以上の高度肥満者では80%といわれますが、アジア人は軽度の肥満でも臓器障害が強く表れるといわれ、さらに注意が必要です。

では何に気を付けたらよいのでしょうか?そのヒントは腸と肝臓の連関にあります。高脂肪食の摂取、急性腸炎、抗生物質の投与等により腸内細菌叢が乱れ、腸管透過性が亢進して血中のlipopolysaccharide(LPS)濃度が上昇する代謝性エンドトキシン症が生じて腸管から門脈を通して肝臓へ流入し、炎症を惹起し遷延を誘導することが分かってきました。カロリー計算だけのダイエットでなく、精製した炭水化物中心の高エネルギー低栄養の食事からビタミンや繊維の豊富な低エネルギー高栄養の食事に切り替えることも考えてゆきましょう。

果糖(フルクトース)は、体内では、エネルギー源となったり、ブドウ糖に変換されたり、トリグリセリド(中性脂肪)の材料になる。果糖は筋肉や肝臓で代謝される。フルクトースの取りすぎは高脂血症の原因となったり前述の腸管連関を通じて肝の繊維化等を来たしたりするため、果糖ブドウ糖液糖と表示のある甘い飲料水の取りすぎにも注意が必要です。

健康診断で指摘された肝障害は放置せず、早めの生活習慣の改善を含めてご相談ください。啓和会は介護と医療の融合で地域の皆様の健康生活を支えます。(金 崇豪)

◇厚生労働省「定期健康診断調」
◇特集 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)の最新知見 日本内科学会雑誌109: 2020
◇果糖の代謝 – fc2web.com 最終検索2月16日2020年
hobab.fc2web.com/sub4-Fructose_Metabolism.htm

吐き気をもよおすことが多くなりました

Q : 何かにつけて吐き気をもよおすことが多くなりました。好きなとんこつスープの臭いもダメな時があります(41歳男性)

A : まさかの二日酔い?なんてことはありませんよね。大好きなラーメンの匂いなのに吐き気を催してしまう、つらいですよね。吐き気の原因と仕組みについて少し見てみましょう。
吐き気とは嘔吐の前兆で、多様な原因で起こります。よくある原因としては、薬剤、心臓病、筋、頭痛、筋肉や骨の痛み、胃炎や膵炎、てんかん、妊娠や空腹などなど。実に多様です。男性よりは女性に多くみられ、人種差があるようで米国人の間ではアジア系の人に多いという報告もあります。

吐き気は、不安やイライラなどの気分の移り変わりを背景に、大脳や小脳などの中枢神経と自律神経、知覚神経などの末梢神経、さらに胃腸の運動や内分泌(ホルモン)を含んだシステムで引き起こされます。吐き気を伝える働きを持つのは、セロトニン/ドパミン、ヒスタミン/アセチルコリンなどの神経伝達物質であり、これらの作用が吐き気止めの薬理作用に応用されています。

実際に、不安を抑えるお薬から、吐き気の伝達過程に作用するお薬までさまざまなお薬が吐き気止めに使われます。そして、急性期の吐き気、慢性期の吐き気を比べると慢性期の吐き気のほうが対応に難渋します。また、東洋医学のツボが吐き気に効果があるとされ、最近の科学的研究でその効果が証明されてきています。いくつか紹介しますと、薬指の爪の付け根(関衝)、手首の付け根(内関)、手のひらの中央のくぼみ(労宮)、人差し指の根元の手のひらの骨の中間にある圧痛店(合谷)などのツボがあります。ぜひお試しください。

ご質問者様、日頃の疲れやストレスが溜まっていませんか?吐き気の背景には心や気分の状態と、様々な病気の可能性があります。まずは生活を見直しましょう。吐き気でお悩みの場合、また症状が長く続く場合は、内科や消化器内科へご相談ください。

当院内科外来は川崎小田地区でプライマリケアとして専門科の先生とも連携しながら地域のみなさまの様々な「困った」に対応しております。(金 崇豪)

◇latte column 健康サイト https://latte.la/column/45011246
◇Prashant Singh et al. Nausea: a review of pathophysiology and therapeutics Therap Adv Gastroenterol. 2016 Jan; 9(1): 98–112.

お風呂上りでもないのに、ほてりが止まりません

Q : お風呂上りでもないのに、顔や頭がほてることが増えました。めまいっぽい時もあります。(53歳女性)

A : カッカとほてる顔や頭、クーラーを最強にして頭から氷をかぶりたい。周りは涼しい顔をしているのに自分だけ。目に浮かびます。
ほてりとは一般的に異常な熱感のことをいい、発汗を伴うこともあります。それが胸、頭や顔に起こるとのぼせといいます。緊張したり恥ずかしい思いをしたりしたときに一過性にあらわれることが多いですが、自律神経調節の乱れや更年期障害などによって、ほてりが続く場合もあります。

いつもと違うほてりを感じたらまずしたいこと!それは、体温測定です。
ほてりの原因にインフルエンザや風邪などの急性熱性疾患や熱中症などの体温調整異常があります。もし体温が高ければ氷枕やアイスノンで冷却し、水分補給をしましょう。症状を見ながら市販薬や受診を考える必要があります。一方、日焼けや自律神経調整の乱れ、更年期障害や高血圧症などでは、体温がそれほど高くないのにほてり・のぼせを感じることがあります。

日常生活での対策では、外出時の日焼け止め、自律神経を整える作用のあるビタミンC、A、Eやカルシウムの摂取と、ストレスをため込みすぎない生活習慣を心がけましょう。食材では果物や緑黄色野菜、ナッツやヨーグルト、お豆腐などをお食事やおやつに取り入れながら、適度な運動や趣味に打ち込んでみてはいかがでしょう?

さて、質問者様は53歳女性。ほてりやのぼせの原因で多いのは更年期障害です。症状の強さは個人差がありますが、喫煙や肥満とも関連があり、有症状期間は7年や10年続くこともあるようです。夜間にほてりや発汗がひどく不眠に至ることもあるため悩まされる方も多いようです。おタバコや食事などの生活習慣の見直し、リラックスして涼しく過ごす工夫を心がけましょう。また、近年では更年期障害とほてり、不眠、気分の落ち込み、冠動脈疾患の関連が研究で話題になり、積極的な治療の対象として捉えなおされています。ほてりの症状があまりにひどい場合、特に夜眠れないような場合はぜひ、プライマリケアの当院内科へご相談にお越しください。専門科の先生とも連携しながら対応してまいります。お待ちしております!

◇ほてり タケダ健康サイト
https://takeda-kenko.jp/navi/navi.php?key=hoteri_kao
◇Hot flashes Mayo Clinic Patient Care & Health Information
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/hot-flashes/symptoms-causes/syc-20352790
◇ E.Bonnani et al., Insomnia and hot flashes: Maturitas, 126(2019), 51-54

耳鳴りで眠れない時もあります

Q :  最近、耳鳴りが多く眠れない時もあります。飛行機に乗っているときのような高い音です(56歳男性)

A : 耳鳴りで眠れないのはつらいですね、眠れなかったり仕事に集中できなかったり。耳鳴りは悩みの種です。56歳の働き盛り、このコラムがセカンドライフを満喫する準備の一助になれば幸いです。
まず、一過性のものなら心配無用です。突然の耳鳴りがすぐおさまれば心配いりません。症状が長引いたとき、体の症状を伴う場合は相談・受診をしましょう。意識障害、頭痛、椅子にも座れなかったり手足が動かなかったりするときは、すぐに医療機関を受診しましょう。
さて、耳鳴りの原因です。多いのは年齢・騒音・内耳(鼓膜の内側)の異常があげられます。時にはメニエール病、顎・頭・首のケガ、耳管の異常などによっておこることもあります。また、音の高・低から連続・不連続、主観的・客観的といった性質により原因を推察することもできます。例えば高血圧や動脈硬化により、低音で拍動性の耳鳴りが客観的にも聞こえることがあります。お薬ではポリミキシンBやエリスロマイシン、バンコマイシンなどの抗生剤、利尿剤、いくつかの抗うつ薬や抗がん剤なども原因となります。
脱水、騒音、年齢、男性、喫煙、高血圧や動脈硬化が耳鳴りの増悪因子です。合併症として疲れ、ストレス、睡眠障害、記憶障害、抑うつ、不安・緊張などが悪くなることがあります。休みの日は煙草を片手に水も飲まずに長時間パチンコなんて生活はあまり感心できません。ご家族・同僚といっしょに生活を見直して改善するチャンスにしましょう!
また、最近の研究によると、瞑想のようなマインドフルネスに基づく教育プログラムもあり、耳鳴りとそれに伴う症状にある程度の効果があるようです。
当院では、内科外来から専門科クリニックや総合病院の先生と連携しております!お気軽にご相談ください。

◇耳鳴りとめまい トヨタ記念病院 ホームページ
https://www.toyota-mh.jp/kenkou/miminari.php
◇Tinnitus Mayo Clinic Patient Care & Health Information
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/tinnitus/symptoms-causes/syc-20350156