ストレス解消にお酒を飲むと逆流がつらい

Q : ストレス解消にお酒を飲むと逆流がつらいです。(40代男性)

A :こんにちは、40歳は働き盛り!景気の波も芳しくない昨今ですが、よほどストレスのたまるお仕事に従事されておられるのでしょうか。お察しいたします。ストレスがたまる、お酒を飲む、胃酸が逆流する。マルチな問題に困っておられる質問者様に少しでもお答えできればと今回は、飲酒を軸にストレス・逆流性食道炎について調べてみました。

ストレス解消に飲酒は効果的でしょうか?アルコールを飲むと陽気な気分になる、元気が出る、寝酒は必須!という声が聞こえてくるようです。一方で二日酔いのために朝食欲がでない経験もありませんか?少量の飲酒はネズミや人間でストレス反応を低下させるという報告もありますが、慢性的・過度の飲酒(アルコール使用障害)は脳下垂体―副腎皮質等の内分泌系からの作用でストレス反応を惹起することがわかっています。アルコールでストレス解消するつもりが、かえってストレス反応を増している可能性があります。

また、飲酒は胃酸の逆流を起こりやすくするため、逆流性食道炎のリスクです。症状は胸やけや胸痛、飲み込みづらさ、咳、喉頭炎、また逆流で目が覚めることもあります。原因は食道から胃への括約筋が緩むことで起こる胃酸の逆流です。食道裂孔ヘルニア、飲酒、喫煙、肥満、妊娠や膠原病がリスクとなりますが、軽症であれば市販薬で対応する方もいらっしゃいます。内視鏡や放射線検査などで診断し内服治療や症状によっては外科手術になる場合もあります。

世代のせいにするわけではないですが、私もアルコールで親交を深める文化(ノミニュケーション)で育ち、お酒は幅広く嗜みます。一方で、アルコール健康障害はメタボリックシンドローム、認知症、事故、若年者や女性における抑うつや自殺との関連があるとも言われます。まさに公衆衛生、医療の分野でアルコール対策は喫緊の社会要請です。

以前は依存症、アルコール使用障害の治療は抗酒薬併用を考えての“断酒”一択の治療でしたが、2010年代から取り組みやすい“節酒”から治療を始めることも選択肢となっているのが最近の話題です。

このストレスたっぷりの社会を生き抜くために“節酒”から始めるアルコール使用対策はいいことずくめのようです!!私も折に触れ“節酒”を自らに課す機械が増えております。質問者様も“節酒”から一緒に取り組みませんか?

当院では上部消化管内視鏡検査を予約の上で実施しております。介護と医療の融合で川崎市小田地区の皆様とともにある啓和会を引き続きよろしくお願い申し上げます。(金崇豪)

アルコールによる健康障害 | Alcohols | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
アルコール健康障害対策|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
Alcohol and Stress – Alcohol Alert No. 32-1996 (nih.gov)
Gastroesophageal reflux disease (GERD) – Symptoms and causes – Mayo Clinic

 

 

健康診断で肝臓が悪いといわれ続けています

Q : 以前から健康診断で肝臓が悪いといわれ続けています。以前にお世話になった病院で脂肪肝といわれましたが薬はもらえませんでした。飲酒習慣はありませんが仕事が忙しく病院受診はつい後回しになってしまいます。健康のためにはどういうことに気を付ければよいのでしょうか?(34歳男性)

A:お忙しい中ご質問ありがとうございます!定期健診や人間ドックは受けただけではもったいない。健康診断の結果はぜひ活用しましょう。
肥満や高脂血症、血糖異常の合併に注意した生活習慣の改善と内科受診の組み合わせが健康生活の「肝(きも)」です。
職場などで定期的に行う健康診断は生活習慣病の項目もカバーしており、肝臓が悪い=肝機能障害の所見は受診者の15%以上、つまり6-7人に1人の方に見られます。飲酒の頻度は世代の流れでだんだん減っている中、アルコール以外の生活習慣を背景にした肝障害への対応はますます注目されています。

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)における肥満・生活習慣病合併の状況は性別年齢ごとの特徴があります。若い男性ではコレステロール異常(脂質異常症)、若い女性では高度肥満が多く、更年期以降の女性では2型糖尿病の合併が見られます。一方、肥満はメタボリックシンドロームの最も主要な症候であり、その肝臓病変であるNAFLD/NASHにおいても、肥満が最も重要な危険因子とされます。
専門的な指標での肥満とNAFLD/NASHの合併率について、ボディマス指数(BMI)23以下では10%、BMI 30以上の高度肥満者では80%といわれますが、アジア人は軽度の肥満でも臓器障害が強く表れるといわれ、さらに注意が必要です。

では何に気を付けたらよいのでしょうか?そのヒントは腸と肝臓の連関にあります。高脂肪食の摂取、急性腸炎、抗生物質の投与等により腸内細菌叢が乱れ、腸管透過性が亢進して血中のlipopolysaccharide(LPS)濃度が上昇する代謝性エンドトキシン症が生じて腸管から門脈を通して肝臓へ流入し、炎症を惹起し遷延を誘導することが分かってきました。カロリー計算だけのダイエットでなく、精製した炭水化物中心の高エネルギー低栄養の食事からビタミンや繊維の豊富な低エネルギー高栄養の食事に切り替えることも考えてゆきましょう。

果糖(フルクトース)は、体内では、エネルギー源となったり、ブドウ糖に変換されたり、トリグリセリド(中性脂肪)の材料になる。果糖は筋肉や肝臓で代謝される。フルクトースの取りすぎは高脂血症の原因となったり前述の腸管連関を通じて肝の繊維化等を来たしたりするため、果糖ブドウ糖液糖と表示のある甘い飲料水の取りすぎにも注意が必要です。

健康診断で指摘された肝障害は放置せず、早めの生活習慣の改善を含めてご相談ください。啓和会は介護と医療の融合で地域の皆様の健康生活を支えます。(金 崇豪)

◇厚生労働省「定期健康診断調」
◇特集 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)の最新知見 日本内科学会雑誌109: 2020
◇果糖の代謝 – fc2web.com 最終検索2月16日2020年
hobab.fc2web.com/sub4-Fructose_Metabolism.htm

最近汗かきになってしまいました


Q : 汗をかかない体質でしたが、最近汗かきになってしまいました。昨年結婚してので食生活が変わったのが原因でしょうか?
(36歳男性)

sick_takansyouA:運動して汗をかくのは気持ち良いものですが、間の悪い時に汗が止まらないのも困りものです。汗が出るのは汗腺や自律神経が関係しており、汗が多いことは「多汗」といいます。アルコールや肥満、ストレスなども多汗の原因にはなるようです。食生活の変化によるものの可能性も考えられますね。一方で薬剤や内臓疾患による多汗も時に見られるようです。まずは生活習慣の改善のもと、それでも気になる点あればご相談・ご受診いただくことをお勧めいたします。
(小澤穣)