終末期医療は話題ですが実感がわきません

Q:一昨年父をがんで亡くしました。父は病院で亡くなりましたが、看病していた母は、自分は最期まで自宅で暮らしたいと言うのが口癖です。テレビでも終末期医療は話題ですが実感がわきません、教えてください?(64歳男性)

A:ご自宅で最期を過ごされたい、そんな希望があればできる限りお応えしたいと常々思っています。お看取りは人生の最期(臨死期)において「お世話をする」、「見守る」、「看病する」行為であり、緩和ケア、終末期ケアと密接に関連があり、在宅医療の中では大きなトピックです。
緩和ケア、終末期ケアは、患者さんご本人の意思を尊重し、身体的、精神的、社会的、霊的苦痛(スピリチュアル・ペイン)を緩和することで、その人なりが充実したと思える最期を迎えられるように、ご家族・介護スタッフ・医療スタッフで連携して援助することを指します。
さて、人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関する厚生省のガイドラインが2018年3月に病院だけでなく在宅医療・介護の現場でも活用できるよう改訂されました。以下に簡単にまとめますので、よろしければご参照ください。

医療・ケアチームに介護従事者も含まれることが明確になりました。
時間の経過や心身の状態におうじて本人の意思は変化しうるものであることが確認されています。
本人が自らの意思を伝えることができなくなった時に本人の意思を推定する者について、家族や親しい友人も含めて前もって定めておくことなどの重要性を強調しています。
話し合ったことはその都度文書にまとめて共有しておくことが大切です。
どうしても意見がまとまらないときには医療・ケアチーム以外の複数の専門家からなる話し合いの場を別途設置することも考慮します。

私ども啓和会では医療と介護の融合したサービスで、これからも川崎区南部の地域包括ケアに尽力して参ります。お困りのことがあれば何なりとご相談ください。(金崇豪)

はしか(麻疹)が流行っています。予防接種は?

Q:はしか(麻疹)が流行っているようです。予防接種をしたほうが良いのでしょうか?(28歳女性) 

A:2018年4月台湾、沖縄から麻疹感染がニュースになりましたね。健康への関心が高い方は気になっていると存じます。
麻疹は発症すると特異的な治療法がなく、妊娠中に感染すると胎児に影響が出る可能性があるため予防接種による予防が大変重要な疾患です。第1期、第2期の定期予防接種を徹底するとともに、麻疹にかかったことがない場合には2回の予防接種が必要です。
定期接種対象者は予定通りMRワクチンを接種してください。また、海外や国内に旅行を考えている方は2週間以上前に接種を済ませるようにしてください。医療関係者、保育関係者、教育関係者は早期の接種が勧められています。近隣で麻疹患者の発生が認められた場合や、妊婦およびそのご家族なども医療機関にご相談ください。
ただし以下の場合は摂取できません。
・明らかな発熱・急性疾患にかかっているもの
・ワクチンに含まれる成分で激しいアレルギー反応が見られたことがあるもの
・免疫抑制剤を使用しているものや免疫機能に異常のあるもの
・妊娠していることが明らかなもの
・その他予防接種を行うことが不適当なもの
また質問者様は、妊娠出産年齢に当たりますのでワクチン接種後約2か月間は妊娠しないように注意する必要がありますが、当院内科外来ではワクチン接種のご予約を承っておりますので、まずはご相談ください。(金崇豪)

予防接種の詳細はこちら

姿勢が悪くておばあちゃんみたい!と言われました

Q : 夫から姿勢が悪くて「おばあちゃんみたい!」と言われました。でも治らないですよね?(59歳女性) 

A:奥様のご様子がつい気になってしまう、優しく素敵な旦那様ですね!
人生100年の時代が来るとも言われる中、みなさも充実した日々をお過ごしのことと存じます。今回は悪い姿勢=姿勢異常についてです。
若年者の場合には成長に伴い変形が増悪する可能性が高い姿勢異常ですが、相談者様はミドルからシニアの移行期。このお年頃での脊柱変形は、腰の変性による側弯症や骨粗鬆による腰の骨折などが多く、日常生活に差し障るだけでなく、逆流性食道炎など内臓の障害にも関係が出てきます。
早めに気づきたい姿勢異常ですが、そもそもご家庭では左右の肩の高さを比べたり、ウエストラインが左右対称かどうかを確認したり、両手を合わせた状態で、体幹を前屈させてろっ骨の出っ張りを観察することお気づきになる方もおられるようです。
少し専門的になりますが、よくある病気では特発性側弯症、先天性側弯症、骨粗鬆性椎体骨折後の脊柱後弯、腰椎変性後側弯症などがあります。また、脊椎骨折、化膿性脊椎炎、脊椎腫瘍、腰椎変性後側弯症で下肢痛や麻痺を伴う場合は重篤な状態が疑われます。一方で、まれではありますが神経・筋原性側弯症、神経線維腫症、間葉性疾患による側弯症、パーキンソン病など、治療可能な病気もあります。変形が進行する場合などは専門医の診察がお勧めです。気になる場合はぜひ、当院外来にご相談ください。専門医への相談も承っております。(金崇豪)

好きだった天ぷら、見ただけでムカつきます

Q : 好きだった天ぷらやトンカツ、最近は条件反射のように見るだけで胸がムカつきます。メンタルでしょうか? (56歳男性)

A:天ぷら、とんかつ、カルビ、から揚げ、とんこつラーメン。胸は焼けますどこまでも・・・ともあれ、むかつき・胸焼けについて調べてみました。
胸焼けの原因は、のど、食道、胃の不調によるものが多いようです。胃や食道は、栄養素等を腸で吸収されやすくするため、食物を粥状液に消化して、少しづつ腸へ送り出しています。胃内を通過する時間は押しなべて2-4時間と言われますが、水分はほとんど時間かけずに通過するの対して野菜や肉や脂肪分は消化に時間がかかります。胃液は蛋白質を分解しますが、脂肪は主に十二指腸で膵臓から分泌される膵液に含まれるリパーゼ等で消化されます。つまり、脂肪の消化には時間を要するので胃が酷使され負担も多くかかってしまいます。質問者様の好物は・・・、思い当たる節があるのではないでしょうか?
また、暴飲暴食、アルコールやタバコ、香辛料、果汁、炭酸飲料も胃酸の分泌を促進するので、胸やけの原因になり得ます。さらに、加齢によって食道を動かす筋力が低下すると食道に胃酸が逆流しやすくなり、肥満も胃や食道の筋肉のゆるみと腹圧の上昇を伴い逆流、胸やけを引き起こします。そして、草むしりや日曜大工などで前かがみの姿勢を続けたり、食後すぐに横になると胸やけを感じることがあります。
規則正しい食事、食後の休息、就寝時のタイミングや姿勢に気を付けてみましょう。また、胃酸を薄める意味で、ガムを噛んで唾液の分泌を促したり、牛乳で粘膜保護を心がけたりすると効果的なようです。それでも症状が続けばまずセルフメディケーション、市販薬をご考慮ください。
当院では内科外来診察に加えて、消化器内科専門医による胃カメラの予約検査も行っております。胸やけなどおなかの症状でお悩みの方はもちろん、胃がん検診もぜひご相談ください。(金崇豪)

父の口臭が最近ヒドいです

Q : 同居の父、入れ歯の洗浄や手入れはきちんとしているのですが、最近口臭がヒドいです。胃や腸の影響もあるのでしょうか?(35歳女性)

A : 口腔ケアまで気にされるとは、お父様へ心遣いが素晴らしい!餃子や生タマネギを食べた次の日、自分では気が付かないことも・・・
口臭には生理的口臭と病的口臭の二つに分けられます。
生理的口臭の原因には、加齢時、起床時、空腹時、緊張時、疲労時、妊娠時、月経時、思春期、更年期など、自分の調子によるものがあります。もちろん、ニンニク、アルコール、薬物など体の外から取り入れたことによるものもあります。
病的口臭の原因には、虫歯や古い銀歯、差し歯、歯周炎、舌苔、副鼻腔炎、咽頭喉頭炎、悪性腫瘍、そして口腔外疾患では高度のストレスに加えて、糖尿病、肝疾患、腎疾患、シェーグレン症候群、リウマチ、自己免疫疾患などが影響を与えるようです。この際、体調の変化によって、腸内細菌叢(さいきんそう)が変化しているとも言われます。
お口のお手入れですが、一部の口臭は嫌気性の原因菌が繁殖して起こるため、歯の表面、歯の間、歯周ポケットの中、舌の表面を日常的にお手入れしてください。毎日のセルフケアに併せて、歯科医師・歯科衛生士による専門的ケアを数か月に一度程度行うとより一層、効果的です。まずは適度な飲水、口腔ケアを心がけ、生活習慣も併せて見直してゆきましょう。野末整形外科歯科内科では医療と介護、どちらの相談も受け付けております(金崇豪)

人差し指の震えが気になります

Q : 最近、右手の人差し指の震えが気になります。お酒は毎日は飲みません。(49歳男性)

A :  毎日は飲まないお酒…、飲酒量も気になりますが、今回の相談はお酒を飲んでも止まらない震えとして考えてみしょう。
医学的には震えを振戦と呼びます。この振戦がいつ起こるかによって分類します。安静時振戦の原因として有名なのがパーキンソン病、姿勢時振戦は本態性振戦や老人性、肝性脳症、甲状腺機能亢進症が考えられます。動き始めに生じる動作時振戦では脊髄小脳変性症や多発性硬化症があり、動きが終わる直前に生じる企図振戦ではやはり脊髄小脳変性症、小脳や中枢の梗塞・出血・腫瘍そして多発性硬化症など原因は多岐に及びます。
さらに、振戦は手指だけでなく、足、声の振戦まであるようです。また、お酌をする時、手紙を書く時、ピアノを弾く時の震えなどは書痙と言われ、あがり症も関係するようです。
振戦で特に多いのは本態性振戦です。動作時におきやすく悪化しないことが特徴ですが悪くならないようであれば経過をみてよいと言われます。診断に沿った治療が望ましいと言われます。当院内科・整形外科では常に専門科との連携を行っております。お気軽にご相談ください(金崇豪)

寝ても寝ても疲れが取れません

Q : 寝ても寝ても疲れが取れません。睡眠時間は毎日6時間ほどです。(46歳女性)

A:社会でご活躍の女性が増えてきています。家事や介護、お仕事に家の中でも外でも大忙し。疲労回復のためにも質の良い睡眠は大事ですよね。
男女の成人で平均の睡眠時間は7時間30分から45分と言われますが、年齢別では45から49歳の女性が7時間弱と短いようです。個人差はあるでしょうが、6時間は少し短めでしょうか。また、寝付くまでに時間がかかったり、気にかかることが多く熟眠できなかったりすることで睡眠が浅く疲労感が残るという報告もあります。
睡眠の時間の長さにあわせて睡眠の質も大切です。睡眠前に10分程度ストレッチなど、軽い運動をすると入眠の助けになるようです。また、日頃のストレスをため込まず、どなたかに相談すると意外にいい方法が見つかるかもしれません。当法人では介護や医療の専門職が揃っております。お気軽にご相談ください。(金崇豪)

中2の娘は数学が大の苦手です

Q : 中2の娘は数学が大の苦手。左脳の強化は必要でしょうか? (36歳女性)

A:面白いご質問ですね。数学と脳の強化!介護の世界でもクイズや脳トレは定着しておりますが、数や図形を扱う学問、数学は医療・介護の分野を超えた話題です。最近の認知行動学と脳機能イメージングをあわせた研究によると、数学的能力は言語能力と視空間認知力の両方がかかわっているとされます。たとえば、正確な計算は言語能力と関連が強く、おおよその計算をする際には視空間認知能力がかかわっており、前者の言語能力は優位半球(主に左脳)をはじめ大脳・小脳の左右に跨るネットワークを複数使っているとされ、後者の視空間認知には両側頭頂葉を使っているという見解があります。また、学習は繰り返すことで長期的な記憶となるようです。
言語や視覚の刺激を含めて繰り返し学習することが数学力の向上につながるのでしょうか?娘さんの数学「脳」力向上を祈念いたします!(金崇豪)

ポテチが止まりません。我慢するとイライラが・・

Q : ポテチが止まりません。我慢するとイライラが・・ 病気でしょうか?(33歳女性)

A :  やめられない、止まらない。。。お菓子は甘いもの派、しょっぱいもの派、甘塩二刀流に分かれるなんて言われます。私は断然しょっぱいもの派です。そんな話から、空腹と満腹の調整について少しだけ調べてみました。
20年ほど前は「大脳の視床下部で満腹・空腹を制御している」と説明(中枢説)されていました。ところが、最近の研究では、「脳(中枢)と腸(末梢)との連携で摂食調節されている。(中枢と末梢の二重支配説)」と言われています。
また、脳と腸の間の連携には、神経を通した有線の連携とホルモン物質などの神経を通さない無線の連携の2種類があるようです。これらにより、腸の状態が満腹・空腹だけでなく免疫の機能や、精神症状に関連するともいわれます。ビフィズス菌や乳酸菌などで腸内細菌叢を整えることが心身の健康や抗老化に与える作用についても研究が行われています。みなさんも食事などを通して腸から生活習慣を整えてみるのもいいかもしれません。(金崇豪)

足首と膝に時々激痛が走ります。痛風でしょうか?

Q : 足首と膝に時々激痛が走ることがあります。痛風は指先に多いと聞きますが、いったい何が原因でしょうか?(46歳男性)

A :  働き盛りの世代では痛風でお悩みの方もたくさんいらっしゃいます。痛風の発作は突然の耐え難い激痛が特徴で、関節の中の尿酸が結晶化することで起こす炎症が原因です。多くの場合で片足の関節、特に全体の7割で親ゆびの付け根の関節に起こります。また、親ゆび以外の足のゆび、かかと、足の甲、くるぶし、足首(足の関節)、ひざやアキレス腱の付け根などの下肢に多く発生しますが、時には、ひじ、手首、指の上肢の関節に起こることもあります。一方で、股関節や肩関節などの大きくて深い関節では通常起こりません。
このように、体温が低く、よく動かし負担がかかりやすい部位、またたんぱく質の少ない部位に尿酸塩の結晶ができやすいと言われています。また、尿路結石や、痛風腎など関節以外の症状を認めることもありますので、尿酸値の管理は重要といわれております。気になる点があればぜひご相談ください。(金崇豪)