小3の息子が頭をぶつけてコブができてしまいました

Q : 小3の息子が友人と遊んでいて、頭をぶつけてコブができてしまいました。受診した方がいいでしょうか?(32歳女性)

A :遊びを通して子どもは心も体も元気に成長してゆきますよね。遊びにけがはつきものとはいえ、安全に配慮して環境を整えることは大切です。成人に比べて頭が相対的に大きい小児は、転んでけがをするリスクが高いと言われます。頭を打った後のコブ自体は特に問題ではありません。ただ、けがをした状況とその後つづく症状にはそれぞれ一定の注意が必要です。
怪我をした状況として、1m以上の高さ、5段以上の階段からの転落など大きなエネルギーがかかった恐れがありませんか?もしある場合には受診や相談をご検討ください。また、受け答えに問題なく元気でぴんぴんしていれば問題ありませんが、その後の症状として頭痛、めまい、嘔吐、意識障害、傷からの出血などあれば、すぐに医療機関を受診することをおすすめします。病院を受診しなかった場合でも、頭を打った場合は少なくとも2日、3日は走ったり飛び回ったりせずに、室内で落ち着いて過ごすことをお勧めします。
お子様に限らないお話をすれば、一般的に頭を打った場合の後遺症としてむち打ちなどのくびの後遺症が残ることがあります。頭の中の問題と併せて、ぶつかった頭を支えている首のチェックと治療が必要にケースはことは珍しくありません。
啓和会では、整形外科の専門医の診察及び理学療法士のリハビリを受けることができます。もちろん、地域の救急医療ができる各総合病院とも連携しております。地域のみなさまの暮らしのなかの「困った」に喜んで対応いたしますので、ぜひご相談にいらしてください。

参考)
頭を打った!さあどうする?神戸市公開講座
https://www.med.kobe-u.ac.jp/pediat/pdf/tanaka18.pdf

Mayo Clinic “Concussion”
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/concussion/symptoms-causes/syc-20355594

NICEガイドライン
https://www.nice.org.uk/guidance/ng232

頭痛持ちです。病院に行くタイミングを逃します

Q : 頭痛持ちです。鎮痛剤で治まるので、つい病院に行くタイミングを逃します。(37歳女性)

A : 頭痛は実によくある症状ですよね。頭の一部もしくは全体の痛みや首後ろ、頭の付け根や、眼の奥の痛みも含んで頭痛といいます。
頭痛は大きな分類で2つ、脳出血や骨折による頭痛など全身の病気による頭痛「症候性頭痛」と、頭の中や外そのものに異常のない「機能性頭痛・慢性頭痛」に分かれます。ご相談者様は頭痛持ちとおっしゃられると後者の慢性頭痛でしょうか。
慢性頭痛は、脳の機能障害によって引き起こされ、通常は器質的な異常を残しません。しかし、脳に一時的に何らかの病態が起こり、頭痛のみでなく様々な症候を生ずるものです。そして、自覚症状が主であるため患者さんとのお付き合いが長くなることの多い病気でもあります。
私どもはプライマリケア(かかりつけ医療)の役割として各科に横断的な診療を心がけております。頭痛に関しては、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛、後頭神経痛、薬物による頭痛などの機能性・慢性頭痛の治療に当たりながら、クモ膜下出血や髄膜炎、脳血管障害などの重篤な症候性頭痛の原因となる疾患には地域の総合病院、専門科の先生方と協力して診療にあたっています。
よくある疾患の症状と治療を簡単に紹介いたします。片頭痛は、生活に支障のある頭痛で日常動作により悪化します。悪心、嘔吐を伴い、音、光などの刺激で悪くなる傾向があります。緊張型頭痛は、両側からの圧迫や締め付け感が特徴で、持続時間は長く、ストレスや肩こりで誘発されます。通常は嘔気などは伴うことは少ないです。群発頭痛は、激しい頭痛発作が片側のそこかしこに集中して起こります。持続は15~180分(大部分は1~2時間)と言われます。
これら慢性頭痛の大規模な調査によると日本人成人の8.4%もの方が片頭痛に悩まされており、そのうち日常生活に支障がある方の割合は74%にも上ると言われます。その割に、定期的に医療機関を受診されている方はたったの2.7%に過ぎず、ざっと計算してみると1000万人近くのかたが日常生活に支障があるまま医療機関を受診せずに過ごしていることになります。これは社会の大きな損失につながる可能性のある大変な数字です。
近年は診断も治療薬も進んでおります。当院内科外来では専門医とも相談しながら診療にあたっております。また、通院が困難な状態の方々には川崎市川崎区小田地域を中心に訪問診療も行っております。お困りの方はぜひご相談ください。

参考文献
◇坂井文彦 頭痛の疫学と医療経済学 神経研究の進歩, 2002 p343-
◇五十嵐 久佳 片頭痛慢性化が社会活動に与える影響 臨床神経学 53巻11号 2013 p1225-
◇竹島多賀夫ら 頭痛 今日の臨床サポート 著者最終レビュー2018/10/26
https://clinicalsup.jp/jpoc