2025年04月09日

朝起きると腰が痛くて、動き始めるまで時間がかかります

Q : 朝起きると腰が痛くて、動き始めるまで時間がかかります。(52歳男性)
youtsu_man
A:朝の「腰の痛み」、その原因と対策についてお話します。
朝起きたとき、「腰が痛くてすぐに動けない」「しばらくしてやっと動けるようになる」——そんなふうに感じる人は、あなただけではありません。実は、年齢を重ねるとよくある体のサインです。人の体は、夜眠っている間にずっと同じ姿勢になりがちです。長い間じっとしていると、関節や筋肉が少しかたくなってしまうんですね。ちょうど、冬の朝に冷えた自転車のチェーンが動きにくくなるのと似ています。こうした朝の腰の痛みには、いくつかの原因が考えられます。
加齢による変化:年を重ねると、背骨や腰まわりの関節がすり減ってかたくなりやすくなります。
筋肉や筋膜のこわばり:筋肉を包んでいるうすい膜(筋膜)がかたくなることで、動き始めに痛みが出ることも。
まれに、軽いヘルニアや関節の病気が関係していることもありますが、ほとんどは深刻なものではありません。

では、どうやって対策すればいいのでしょうか?まずは、原因をはっきりさせること。一度、整形外科を受診して、レントゲンや必要があればMRIなどの検査を受けてみましょう。原因がわかれば、適切な対処ができます。
朝のストレッチを取り入れてみましょう
朝、起きる前にベッドの上で軽くストレッチをするのがおすすめです。たとえば、仰向けで寝たまま、両ひざをゆっくり抱えてみると、腰が少しずつやわらかくなります。
日中も体を動かす習慣をつけましょう
最近の研究では、「腰痛の多くははっきりした原因がなくても、体を動かすことでよくなる」ことがわかっています。ウォーキングや簡単な筋トレなど、できる範囲で体を動かす習慣をつけましょう。
温めて血流をよくしたり、薬を使ったりすることも効果的
痛みが強いときは、湿布や痛み止め、カイロなどで腰を温めるのも効果があります。無理せず、自分に合った方法でケアしていきましょう。
同じ姿勢を続けないことも大事
デスクワークやテレビを見る時間が長くなると、腰に負担がかかります。30分に1回は立ち上がって、体を軽く動かすように意識してみてくださいね。

腰痛は多くの人が経験する身近な症状です。でも、毎日のちょっとした工夫と習慣で、きっと楽になりますよ。焦らず、やさしく体とつき合っていきましょう。啓和会では医療と介護の融合で地域のみなさんの健康と福祉のサービスを提供します。整形外科外来では曜日によって膝や腰、手や肩の専門医が診療にあたっています。理学療法も充実しておりますので困ったことがあれば地域の皆様はぜひご相談ください。

参考)
日本医科大学医学会雑誌
腰痛診療ガイドライン2019の要旨と解説
81_123.pdf
世界保健機関
WHO guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults in primary and community care settings