Q : 主人のいびきが、最近ひどくなりました。以前はお酒を飲んだ時くらいだったので心配です。薬で治療できますか。(37歳女性)
A:いびきがひどくて、別の部屋で寝てもらっていても母子そろって熟睡できない!でも、本人はぐっすり気づいていないのではないか。。。そんな心配・お悩みありますよね?
いびきには大きく分けて単純性いびきと睡眠時無呼吸症候群を伴ういびきの2種類があります。生活習慣病のリスクにもなるため、生活の中での対策はもちろん、必要な時には検査と治療をおすすめします。
いびきは寝ているときに空気の通り道が狭くなって起こります。慢性的なアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、扁桃炎、鼻の真ん中の骨が曲がっている鼻中隔彎曲症、口蓋垂(のどちんこ)が大きい場合などがあります。放置しておくと、いびきが悪化すると共に睡眠時無呼吸症候群の原因となります。
医学上は10秒以上の気流停止を無呼吸といい、一晩(7時間)の睡眠中に30回以上無呼吸が認められる場合、あるいは1時間に5回以上無呼吸がある場合に睡眠時無呼吸症候群としています。睡眠中の出来事であるため自分で気がつくことは稀で、潜在患者数は300万人もいると推計されています。21世紀の国民病といわれることもあります。治療法が確立されているため、適切に検査・治療を行えば決して恐い病気ではありませんが、放っておくと高血圧、糖尿病などの生活習慣病や心臓・脳血管障害などにつながるリスクがあります。
いきなり病院はハードルが高い!そんな場合はまず適正な体重を維持する、枕を変える、マウスピースを使うなどの対応が良いでしょう。本人にいびきの自覚がなくても、眠りの質は低下するため、朝の頭痛やだるさ、日中の眠気、運転中の眠気、朝の血圧が高く降圧剤が効きにくいなどの症状がみられる場合もあります。ビデオを撮影して症状(被害?)の深刻さを自覚してもらうという荒療治をされる猛者も。
ある報告によると、男性・加齢・首周りの肉付きが睡眠時無呼吸の程度の増悪因子といわれていますが、ご主人の体形でお気づきのところありませんか?
治療は歯科ではマウスピース、医科では減量のサポートと生活習慣病などの併存疾患の治療、そしてマスクによる持続陽圧呼吸療法CPAPや、扁桃腫大が原因の場合の外科的治療、など色々なアプローチがあります。
いびきに始まる睡眠時無呼吸症候群はとても身近な病気です。当院では歯科・内科外来で専門科と連携しながら診療にあたっております。ぜひ気軽にご相談ください。(金 崇豪)
◇睡眠時無呼吸症候群の治療 監修医院 にしかわ耳鼻咽喉科
https: www.nisikawa-mimi.com/sas/noisy/
◇一般社団法人 日本呼吸器学会ホームページ 呼吸器Q&A 夜、いびきをかくといわれました
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=61
◇Robert J O Davies et al. The epidemiology of sleeping apnoea. Thorax 1996;51:(Suppl 2):S65-S70 ◇Chapter 2 – Epidemiology of insufficient sleep and poor sleep quality. Sleep and Health
2019, Pages 11-20