Q : ストレスのせいかイライラすることが多く、妻や娘とも言い争うことも増えました。「男性の更年期障害」ってあるんですか? (49歳男性)
A:日頃からつのるイライラやつらい思い。でもおれは男、泣きとおすなんてできないよ。でも夜も眠れず寝汗でつらいし、なんだか不安で疲れやすい。外来にこんな方がいらっしゃると、日頃は漢方薬の出番。でも質問者様のおっしゃる通り、ストレスに対する反応に加えて、そのイライラ、男性ホルモンの減少が影響しているかもしれません。
医学上は加齢男性性腺機能低下症候群と呼ばれる、いわゆる「男性の更年期障害」は日本でも十数年前から知られるようになっており、2007年には日本泌尿器科学会、日本Men’s Health医学会公認で診療の手引きが発行され、その診療に際する最初のガイドラインが示されました。40代後半から60代でうつ病やメタボリックシンドローム、高脂血症や脳・心血管病変などのリスクとしても注目されています。
症状としてはのばせ・多汗、全身倦怠感、筋肉や関節の痛み、筋力低下、骨密度低下、頭痛・めまい・耳嶋、頻尿など。併せて、不眠、無気力、イライラ、性欲減退、集中力や記憶力の低下などとともにうつ症状が出る場合もあり、「男性の更年期障害」は、女性更年期障害とよく似た多様な症状が見られます。
週末は夜更かししてテレビを見ながらビールを飲んでお菓子をつまむ。日曜日は一日中横になって過ごしたりしていませんか?予防のためには生活習慣の改善が一番。適度な運動とバランスのとれた食生活が効果的です。筋肉を使うことでテストステロンが増え、ストレス解消にもなります。週150分程度のウォーキングやスロージョギングでメリハリをつけましょう。食事ではニンニク、タマネギなどのネギ類や、ヤマイモなどのネバネバ食品がおすすめです。また、良質な睡眠も大切。生活に張り合いが出るような趣味や生きがいを持ち、ストレスを解消しましょう。
それでも困った時は、当院内科へぜひご相談ください。漢方薬を中心として治療を考えることが出来るかもしれません。専門的な治療には泌尿器科や心療内科・精神科などスペシャリストの先生への紹介も含めて対応させていただきます。
(金崇豪)
参考文献
◇井手 久満 男性更年期障害(LOH症候群) 医療法人社団こころとからだの元気プラザhttps://www.genkiplaza.or.jp
◇石内裕人 第30回男性更年期の冷えと漢方治療 Kampo Square https://www.kampo-s.jp
◇岩本 晃明ら 日本人成人男子の総テストステロロン、遊離テストステロンの基準値の設定 日泌尿会誌.,95(6),p751-,2004.