Q: 便通のため漢方薬を飲んでいます。飲み続けても、また何種類まで大丈夫でしょうか?(53歳女性)
A:こんにちは。お腹の調子で悩むこと、ありますよね。便秘は日常生活の中でよくある困りごとです。今回は、便秘改善のための漢方薬の使い方や、腸内環境を整えるために日常生活で取り組める方法についてお話しします。
まずは原因についてです。便秘は、食事の内容や生活習慣、ストレス、さらには体の基礎的な病気が関係していることがあります。特に最近、「漢方薬を使って便秘を改善したい」「長く飲んでも大丈夫?」といった相談をいただくことが増えています。そこで、まずは漢方薬の正しい使い方についてお伝えします。漢方薬は自然由来の成分でできており、便秘の改善に役立つことがあります。ただし、使い方にはいくつか注意点があります。
1. 効果を見ながら医師に相談して飲み続ける
漢方薬は短期間で効果を発揮する場合が多いですが、長期間使い続けることで次のようなリスクがあります。まず、効果が薄れてきたり、腸が自然に動きにくくなる「薬剤性便秘」を引き起こすことがあります。また、口の乾きや疲労感など、副作用が出ることがあります。漢方薬は基本的に1種類から使うと効果にキレがあり、症状に変化があればすぐに医師に相談するのが安心です。
2.複数の漢方薬を使うと効果が薄れたり、副作用が強く出ることがある
複数の漢方薬を同時に使うのはなるべく避けた方が良いでしょう。成分が重なってしまい、過剰摂取や副作用のリスクが高まるからです。一時的には複数の薬を使っても、効果や症状を見ながら1種類にずつ、使用期間を守りながら飲むようにしましょう。
さらに、腸内環境を整えることも大切だということがわかってきました。便秘を改善するには、お薬だけに頼るのではなく、腸内環境を整えることが大切です。ここでは、日常生活に取り入れられる工夫をいくつかご紹介します。
食生活について、食物繊維を多く摂るようにしましょう。野菜、果物、全粒穀物などを積極的に取り入れると、腸が元気になります。また、水をしっかり飲みましょう。病気がある方は主治医に相談しながら、心臓や腎臓に病気がなければ水分はしっかりとりましょう。1日に1.5~2リットルの水分を摂ることで、便が柔らかくなり腸内をスムーズに保てます。
日頃から適度な運動を続けることも大切です。軽いウォーキングやストレッチを毎日取り入れることで、腸が動きやすくなります。例えば、15~30分の散歩を日課にしてみてください。
また、腸に良い食品を摂りましょう。ヨーグルト、味噌、ぬか漬けなどのプロバイオティクス食品は、腸内の善玉菌を増やし、便通をスムーズにするのに役立ちます。さらに、バナナやオートミールのようなプレバイオティクス食品と組み合わせれば、効果がより高まります。
最後に、ストレスを減らす工夫を試しましょう。腸はストレスに敏感です。ヨガやマインドフルネスという言葉を聞いたことがありませんか?深呼吸をしたり、リラックスできる時間を意識的に作ることも、腸内環境を整える一助となります。
もし、次のような症状がある場合は、無理せずに医師に相談してください。便秘が長期間続いている場合、漢方薬を飲んでも効果が見られない場合、腹痛や血便、吐き気や水も飲めないなどの新たな症状が現れた場合。こういった場合は早めの相談が、より良い治療やアドバイスにつながることがあります。
便秘を改善するには、漢方薬を正しく使うことと、生活習慣を整えることが大切です。腸内環境を良くする食事や運動を取り入れ、小さな工夫を積み重ねていくことで、便秘だけでなく体全体の調子が整ってきます。啓和会では介護と医療の融合でみなさまの暮らしの困ったにお答えするサービスをそろえております。何か気になることがあれば、いつでも気軽にご相談ください。喜んであなたの健康をサポートさせていただきます。
内科医師 金
参考)
– 日本消化器学会「便秘の治療ガイドライン」
– 厚生労働省 e-ヘルスネット「便秘と食事」
– 日本乳酸菌学会「乳酸菌と健康の基礎知識」
– American College of Gastroenterology, 2021: Chronic Constipation Guidelines.