2025年05月15日

普段より髪の毛が抜けやすくなり、ボリュームが減った気がします

Q : 普段より髪の毛が抜けやすくなり、ボリュームが減った気がします。(45歳女性)
nukege_woman
A : 鏡の前で、ふとした瞬間に「あれ?」と思うことがありますよね。手ぐしの指先に、いつもより多い髪の毛が絡まる。ドライヤーのあと、床に落ちた抜け毛が気になる。髪が束で抜けていく。全体にボリュームが減ってきた気がする。そして振り返ってみると、最近、生活習慣が変わってきたなんてこともあるかもしれません。髪の毛の長い女性は、男性に比べてこう言った変化に気づきやすいこともあり、決して珍しいことではありません。でも、だからといって放っておいてよいわけでもないのです。髪の変化は、体が静かに送ってくれているメッセージかもしれません。

たとえば「びまん性脱毛症」という状態があります。これはストレスや睡眠不足、急なダイエット、出産、体調の変化などが原因で起こるもので、毛根がしばらく休んでしまうことで起こります。髪は全体的に薄くなり、束で抜けることもありますが、ほとんどの場合、原因を取り除けば数か月で回復します。鉄欠乏が原因となることもあります。鉄分が不足していると、髪に必要な栄養が届きにくくなり、抜け毛が増えることがあります。特に月経のある女性にとっては、知らないうちに鉄が不足していることも珍しくありません。緩やかに進む経過では疲れやすさが目立たないこともあるため、見逃しやすいポイントです。もうひとつ大切なのは、ホルモンバランスの変化です。たとえば甲状腺の機能が低下すると、新陳代謝が鈍くなり、髪の生え変わりがうまくいかなくなることがあります。寒がりになったり、むくみや便秘が出たり、何となく体が重いと感じることがあるなら、そのサインを無視しないでください。
年齢とともに変化する女性ホルモンの影響で、頭頂部を中心に少しずつ髪が細くなっていく「女性型脱毛症」というタイプの薄毛もあります。これは特に40代以降の女性に多く、遺伝的な要因も関係しています。完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、適切なケアで進行を緩やかにしたり、改善することも可能です。

こうした背景をふまえると、一度きちんと体の中をチェックしてみることが大切だとわかります。血液検査で鉄の貯蔵量(フェリチン)を調べたり、甲状腺ホルモンの状態を確認することで、多くのヒントが得られます。もし数値に異常が見つかれば、治療を進めていくことで髪の状態も改善していくでしょう。婦人科や皮膚科など専門家に相談することも有効でしょう。一度受診を考えてみてはいかがでしょうか?

もちろん、日常の過ごし方もとても大切です。偏った食事や無理なダイエットは避け、たんぱく質や鉄分、ビタミンB群を意識的にとるようにするだけでも、髪の元気は少しずつ戻ってきます。睡眠をしっかりとること、ストレスを抱えすぎないこと、過度なカラーリングや高温のドライヤーを避けることも、今日からできるケアです。時間を見つけてヘッドマッサージを取り入れるのも、リラックスと育毛の両方に効果があります。
髪は、私たちが思っている以上に、心や体の状態を映し出す鏡です。ちょっとした変化の背後には、あなたの体が今「無理しすぎていない?」と問いかけているのかもしれません。決して自分を責めずに、まずはその声に耳を傾けてみてください。

髪は、一度抜けたからといって終わりではありません。ほとんどのケースでは、原因を知り、必要なケアをすれば回復する力を持っています。大切なのは焦らないこと。そして、きちんした方法で自分をいたわってあげることです。あなたの髪と心とからだが、また健やかさを取り戻せるように。今日から、食事、睡眠、お仕事をはじめ暮らしを見直し少しずつ整えていきましょう。

啓和会は地域のみなさまの困ったに、医療と介護の融合でお答えしてまいります。地域の専門科クリニックや総合病院とも連携しております。みなさまのご相談を丁寧な受付さん、やさしい作業・理学療法士さん、親切な看護師さんをはじめ、さまざまな医療介護専門職とともにお待ちしております。

参考)
脱毛症 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)
Hair loss Symptoms and causes (Mayo clinic)