全事業所でのノーリフティングケアを目指します

ノーリフトケアPOP

IMG_75312のコピー医療・介護においてノーリフティングケアは、世界的な潮流となっています。持ち上げない、抱え上げない、引きずらない。働く人々、患者様、ご利用者にとって、安全で安心な看護、介護現場を作るうえで欠かすことができないテーマです。医療医療法人啓和会では、職員研修での実習や機械浴の積極的な導入など、腰痛予防のための活動を展開していましたが、さらに一歩進めるために、本年度、ノーリフトケア宣言を発表する運びとなりました。
ノーリフトケアⓇは、厚労省の認可組織として平成19年から活動する日本ノーリフト協会でのトレーニングを経て、協会会員となった法人にのみ付与される商標で、具体的な活動実態を表す唯一の指標といえます。医療法人啓和会では、このノーリフトケアⓇをすべての事業所で導入することを目指します。
本年度、最初に取り組んだ事業所はグループホーム四谷上町。管理者、主任の約2か月間にわたる研修を経て、4月からスタートしました。吊り上げリフトの導入をはじめ、職員全員での取り組み、意識改革が大きな成果を生み出しています。今後の展開にご期待ください。
ノーリフトケアPOP

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吊り上げ式リフト

 

日に当たるとすぐ黒くなり、シミが心配です

Q : 日に当たると赤くならずにすぐ黒くなり、1年近く残ります。シミだけが心配です。(34歳女性)

A : 最近は性別にかかわらずスキンケアの意識は高まっているようですが、女性のお肌の悩みは尽きません。若いころは日焼けなんか気にせずに外で真っ黒になるまで外で遊んでましたが、実際18歳までに一生に浴びる分の半分量の紫外線を浴びるといわれています。

人の皮膚の色は4色の色素で構成され、それぞれメラニン、カロチン、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビンと呼ばれます。日本皮膚科学会のホームページによると日光に対する皮膚反応の指標に‘フォトスキンタイプ’という全6タイプの分類がありました。タイプ1は白人のように色素が少なくすぐに真っ赤になるタイプ、タイプ6は黒人のように色素が多く最も日焼けしにくいものとされます。日本人はタイプ2から4が多く、質問者様はタイプ3から4と赤くなる日焼けはしにくいタイプなのでしょう。

そして、ご心配のシミです!これは紫外線による長期的な皮膚への影響(シミ・しわ・くすみ・たるみ)の代表であり、十分な量の日焼け止めと紫外線を避ける行動がおすすめです。美白のためにビタミンC!これは有名ですが、紫外線による皮膚細細胞のDNA損傷や酵素活性メラニン生成の活性化を防ぐ効果も。さらに、最近ではサケの軟骨やムクゲエキス代謝物など、日常生活にあるモノの中から美白効果が再発見されているようです。当院内科外来は専門医療機関とも連携しながら介護と医療を融合して、地域のみなさまの健康生活をサポートいたします。お気軽にご相談ください。(金崇豪)

◇日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 日焼けhttps://www.dermatol.or.jp/qa/qa2/index.html (最終アクセス2020年8月1日)
◇後藤昌史 サケ鼻軟骨由来熱水抽出プロテオグリカンの素材化及び日焼け抑制効果を有した美容食品の開発.応用糖質化学.(7)-1.p.23-8.2017
◇田中浩 美白製品とその作用 日本香粧品学会誌.vol.43(1),P.39-43.2019
◇みらい検討委員会 皮膚の光老化とその予防に関するコンセンサスステートメント
◇J E Yang Dietary enzyme-treated Hibiscus syriacus L. protects skin against chronic UVB-induced photoaging via enhancement of skin hydration and collagen synthesis Archives of Biochemistry and Biophysics
Volume 662, 15 February 2019, Pages 190-200

ストレスで気が落ち着かず眠れません

Q : 時節柄でしょうか、気が落ち着かず眠れません。ストレスは感じていますがどうしたらよいでしょうか?(32歳女性)

A : 30歳代は、職場環境や人間関係にも慣れて日常生活も軌道に乗るといわれる頃。周囲からの期待もあるのではないでしょうか?病気や家族・友人との出来事など沢山のことがストレスの原因になっていることでしょう。身体だけでなくメンタルの健康も当然心配になってきますよね。今回ご紹介するストレスへの対応が、一筋縄ではいかないこの時代をみんなで生き抜く一助になれば幸いです。

ストレスとは、もともと物理学の専門用語で、物体の外側からかけられた力によって歪みが生じた状態を言います。一方、普段私たちが「ストレス」と言っているものは、「心理・社会的なストレスの源、ストレッサー」のことを指しています。職場や家庭など生活のありふれた場面で、仕事や家事の作業や対人関係などの要因がストレッサーとなり得ます。これらによって引き起こされるストレス反応はポジティブ、ネガティブの2つに分類でき、更に心理面、身体面、行動面の3つに分けることができます。

例えば、集中力の向上、楽しさや活気の上昇、高揚感などのポジティブな心理反応に対して、活気の低下、イライラ、不安、抑うつ(気分の落ち込み、興味・関心の低下)などはネガティブな心理面での反応です。

身体面でのストレス反応には、力のみなぎる感じ、爽快感などのポジティブな反応から体のふしぶしの痛み、頭痛、肩こり、腰痛、目の疲れ、動悸や息切れ、胃痛、食欲低下、便秘や下痢に加えて不眠などさまざまなネガティブな反応があります。

また、単純作業における手際の向上、早めの睡眠や健康な食事や周囲の人への相談などのポジティブな行動変容も見られる一方で、逆にクリエイティブな業務における想像力や効率の低下、飲酒量や喫煙量の増加、仕事でのミスや事故、ヒヤリハットの増加などはネガティブな行動面でのストレス反応も見られます。

ストレスに対処する行動としては、ストレスそのものに働きかけてストレスをなくしてしまう根本的な方法や、自分自身の工夫や周囲への相談、ルールの変更などでストレスへうまく対応して解決する方法、さらにストレスによって発生した自分の不安感や怒りなどの感情を周囲の人たちに聴いてもらい上手に発散する方法などがあります。日頃からストレスが発散できるよう、趣味や生きがいとなるものを持つことや、なにかと協力してもらえる人間関係も重要となります。

自分自身でできる対処行動として大切なのは、まずストレスを受けている自分に気づく(気づいてもらう)ことです。そしてそのストレス反応が頭痛・動悸・不眠・飲酒増加・ヒヤリハットであることを知っておくことが有効です。もし自分や周囲の人が不安やイライラ、活気の低下、興味関心の低下にとらわれていることに気づいたら、その状態を責めることなくネガティブな感情から立ち戻り、最も大切な生きがいに沿って行動すること、意識的に周囲の人に親切にすること、呼吸法や瞑想、マインドフルネスなどネガティブな感情を和らげる方法をみんなで試してみましょう。時間をかけても練習する価値のある、あの世界保健機関WHOお墨付きの方法です!

質問者様は眠れず困っておられるようですね。睡眠も質と時間が重要です。まずは飲酒や夜のスマホなどを控えて、ストレッチやヨガなど適度な運動やリラクゼーションで睡眠の質を上げてみませんか?十分な睡眠がストレスからの回復には重要です。人にもよるようですが、個人的には3時間程度の仮眠ではなく、6、7時間程度の十分な睡眠時間をお勧めしています。作業の効率や気分にも良い影響がみられますよ。繰り返しになりますが、自分で対応しきれないときは決して無理をせず周囲の人たちの協力も仰いで、よりよい解決の糸口を目指しましょう。窮地に陥った時に相談できる人を持ち、適切なケアを適切なタイミングで受けることは我々が健康で効果的な社会活動を続けるために極めて重要です。

ストレスは、私たちが生きていく上で避けることのできないものですが、うまく対応することができれば自分や組織の成長にもつながります。気づきと工夫、思いやりは我々が人生を豊かに送る助けになります。みんなでこのストレスフルな現代社会を乗り切ってゆきましょう!
当院内科外来は専門医療機関とも連携しながら介護と医療を融合して、地域の皆様の健康生活をサポートいたします。お気軽にご相談ください。(金崇豪)

 

◇厚生労働省 こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
HOME>ストレス軽減ノウハウ
https://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh001/
◇Doing What Matters in Times of Stress: World Health Organization
https://www.who.int/publications-detail/9789240003927
◇睡眠時間が翌日終日の認知・運動機能に与える影響
ITヘルスケア 2008 年 3 巻 2 号 p. 96-105

コーヒーは健康飲料と聞きましたが一家全員お茶党です

Q:テレビや雑誌でコーヒーは健康飲料と聞きましたが一家全員お茶党です、かぜ以外では滅多に病院にお世話にならない私はコーヒーに乗り換えるべきでしょうか?(40歳女性)

A:結論から申し上げます。乗り換える必要はありません、お茶を楽しんでください。

今回はコーヒーについて調べてみました。日本にコーヒー豆が渡ったのは16世紀から17世紀。オランドとポルトガルから渡ったその飲み物は、当時の日本人には「焦げ臭くて苦く飲めやしない」ものでした。19世紀後半になって日本で初めての喫茶店ができ、知識人や文化人の交流の場となりました。経営安定のために月額50銭の「サブスク」が導入され、西洋建築2階建ての店内では食事や喫煙の共にコーヒーが供されていたました。大正時代に入ると、喫茶店には女給がサービスに就く特殊飲食店と、軽食やコーヒーを楽しむ純喫茶とにわかれました。前者は銀座や新宿、後者は神田や神保町と現代の街のテイストにも受け継がれていると思いませんか?

そんな喫茶店で淹れる飲み物、コーヒーは「大人の飲み物」の代表です。昔は「こら、カフェインは体に悪いからダメ!!」などと叱られながら、少しすすったミルクコーヒーの「背伸びした」味を思い出します。20年程前からコーヒーの健康への影響は大幅に見直されました。糖尿病や肝臓病さらには各種悪性腫瘍(がん)にまで健康増進の効果が認められています。折り紙付きの健康飲料としてコーヒーは医療関係者の中でも歓迎されています。その内クリニックの外来で処方するようになるなんて言う冗談を言う方もいらっしゃいますよ。

コーヒーに豊富に含まれるポリフェノール等の抗酸化作用が健康効果が強く、カフェインやアクリルアミドの含有量は1日4杯程度の量であれば気にする必要は無い様です。また、コーヒーの成分は口腔内や腸内の細菌叢の菌数や構成にも影響を与えており健康効果の研究がさらに進められています。

質問者様のように心臓や血圧、胃腸に大きな問題がない方は健康効果を期待してコーヒーを楽しんでみてはいかがでしょうか?繰り返しになりますが、お茶党の方は緑茶にも健康効果が見られるので、無理にコーヒーに変える必要はありませんよ。そして付け合わせを工夫してお砂糖や小麦は控えめに!

 

診療所では内視鏡検査や定期康診断など予防医療にも力を入れています。窓口や電話でのご相談やホームページをご参照ください。

 

啓和会は「医療」「介護」「福祉」の一貫した地域包括ケアで地域の方々の生活の質の向上を目指します。

 

◇旦部幸博 コーヒーの科学「おいしさ」はどこで生まれるのか?

◇history of coffee in japan https://en.goodcoffee.me/column/guest-columnist/history-of-coffee-in-japan/

健康診断で肝臓が悪いといわれ続けています

Q : 以前から健康診断で肝臓が悪いといわれ続けています。以前にお世話になった病院で脂肪肝といわれましたが薬はもらえませんでした。飲酒習慣はありませんが仕事が忙しく病院受診はつい後回しになってしまいます。健康のためにはどういうことに気を付ければよいのでしょうか?(34歳男性)

A:お忙しい中ご質問ありがとうございます!定期健診や人間ドックは受けただけではもったいない。健康診断の結果はぜひ活用しましょう。
肥満や高脂血症、血糖異常の合併に注意した生活習慣の改善と内科受診の組み合わせが健康生活の「肝(きも)」です。
職場などで定期的に行う健康診断は生活習慣病の項目もカバーしており、肝臓が悪い=肝機能障害の所見は受診者の15%以上、つまり6-7人に1人の方に見られます。飲酒の頻度は世代の流れでだんだん減っている中、アルコール以外の生活習慣を背景にした肝障害への対応はますます注目されています。

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)における肥満・生活習慣病合併の状況は性別年齢ごとの特徴があります。若い男性ではコレステロール異常(脂質異常症)、若い女性では高度肥満が多く、更年期以降の女性では2型糖尿病の合併が見られます。一方、肥満はメタボリックシンドロームの最も主要な症候であり、その肝臓病変であるNAFLD/NASHにおいても、肥満が最も重要な危険因子とされます。
専門的な指標での肥満とNAFLD/NASHの合併率について、ボディマス指数(BMI)23以下では10%、BMI 30以上の高度肥満者では80%といわれますが、アジア人は軽度の肥満でも臓器障害が強く表れるといわれ、さらに注意が必要です。

では何に気を付けたらよいのでしょうか?そのヒントは腸と肝臓の連関にあります。高脂肪食の摂取、急性腸炎、抗生物質の投与等により腸内細菌叢が乱れ、腸管透過性が亢進して血中のlipopolysaccharide(LPS)濃度が上昇する代謝性エンドトキシン症が生じて腸管から門脈を通して肝臓へ流入し、炎症を惹起し遷延を誘導することが分かってきました。カロリー計算だけのダイエットでなく、精製した炭水化物中心の高エネルギー低栄養の食事からビタミンや繊維の豊富な低エネルギー高栄養の食事に切り替えることも考えてゆきましょう。

果糖(フルクトース)は、体内では、エネルギー源となったり、ブドウ糖に変換されたり、トリグリセリド(中性脂肪)の材料になる。果糖は筋肉や肝臓で代謝される。フルクトースの取りすぎは高脂血症の原因となったり前述の腸管連関を通じて肝の繊維化等を来たしたりするため、果糖ブドウ糖液糖と表示のある甘い飲料水の取りすぎにも注意が必要です。

健康診断で指摘された肝障害は放置せず、早めの生活習慣の改善を含めてご相談ください。啓和会は介護と医療の融合で地域の皆様の健康生活を支えます。(金 崇豪)

◇厚生労働省「定期健康診断調」
◇特集 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)の最新知見 日本内科学会雑誌109: 2020
◇果糖の代謝 – fc2web.com 最終検索2月16日2020年
hobab.fc2web.com/sub4-Fructose_Metabolism.htm